8 ページ18
咳き込みながら、ときおりびくっとなる大我。
あーこれは気持ち悪くなっちゃったか。
「大我、気持ち悪い？」
まだ返事ができるような状態ではないがその様子から見ておそらく、咳き込みすぎて気分が悪くなってしまったのだろう。
「吐いちゃいな。」
そう言って部屋のゴミ箱からビニール袋を拝借し、口元に当ててあげる。
だけど大我は首を振ってタオルで口元を押さえつけるだけ。
大丈夫なのだろうか？
…これ、窒息するのでは、
「大我我慢しなくていいよ。」
「俺ら…ちょっと外出てるね、」
「着替えとかここに置いておくから。何かあったら連絡して。あ、マネージャーちょっと話あんだけど…」
気を遣ってくれたのだろうか。
加湿器のスイッチを入れた樹は、マネージャーとともに早々と部屋から去って行った。
「息できなくなっちゃうよ。」
口元を押さえつけているタオルをはずそうと上から手を重ねると、意外にもあっさり口元からそれが離された。
けほけほっっうえ、、っ！
タオルを話した途端、強めにえずいた。
即座に袋を口元に当てて、できるだけ優しく声をかける。
「大丈夫大丈夫、そのままだしちゃいな」
手で口元を押さえて耐えているが、もうあふれそうだ。
ごほっおぇっ、げほげほっ
はぁっうぅぇぇ、、っ
強めに背中をさすってやると、ガサガサと音を立て、生温かいものが質量を増していく。
「びっくりしたな、大丈夫大丈夫、」
吐き気が落ち着いたのを見計らってビニール袋を縛り密閉する。
それから、手に少しだけついてしまった汚れをウェットティッシュで丁寧に拭いてあげる。
「こーち、ごめん、よごれちゃう。」
「大丈夫だから。」
「…ごめん。せっかく、6人で呼んでもらうなんて、滅多にないのにっ。みんな、楽しみにしてたのに」
まだ咳は完全には落ち着いていないが、普通に会話できるくらいには回復したようだ。
だが、さっきからずっと謝っていて心が痛くなる。
忘れ物をしても、ご飯おごってもらっても、いつも申し訳なさそうな顔なんてしないじゃん。
なんでこういう時は謝るんだよ。
「大丈夫だからちょっと落ち着け。俺の方もたれかかっていいから。な？」
「、、、ありがと、」
大我が喘息持ちなのは知っていたし、たまに咳き込んでいるところを見たこともあった。でも、発作を目にしたのは初めてだった。だからちょっと、怖い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 239人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
m - お返事ありがとうございます！とってもたのしみにしてます☺️☺️ (3月18日 2時) (
レス) id: 71f21611c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるゆる(プロフ) - mさん» mさま コメントありがとうございます。 私も、きょもじゅり好きなので書く予定です☺️ ただ、かなり先になるかもしれません。お待ちいただけるとうれしいです！ (3月17日 21時) (レス) id: de16dd2c44 (このIDを非表示/違反報告)
m - だいすきで何度も読ませてもらってます！きょもじゅりのお話も読んでみたいです！もしいつか可能でしたら書いていただけるとうれしいですTT (3月17日 1時) (レス) id: 71f21611c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるゆる(プロフ) - さなさん» さなさま 本当ですか…！？嬉しいです！ありがとうございます。 (3月4日 0時) (レス) id: de16dd2c44 (このIDを非表示/違反報告)
さな - シチュエーションも細かくてだいすきです！ (3月2日 20時) (レス) @page37 id: b593d6990a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆるゆる | 作成日時：2024年1月20日 14時
