【大病院占拠】さあ、始めましょう

１１話 ページ12

＿配信開始＿

私達からの着信を取ったのは武蔵刑事ではなく、和泉管理官だった。

「どうしてあなたが。武蔵刑事はどうしたんですか？」

おそらくいないのだろう。時間稼ぎか知らないが、こちらの様子を伺ってきた。

「あなたとは交渉しません。言ったはずです配信に間に合わないと人質を○すと」

画面内に連れてきたのは武蔵裕子。私は彼女に銃を突きつけた。

「恨むなら、旦那さまを恨んでくださいね。武蔵先生」

「待ってくれ！俺はここにいる！」

急いだ様子で画面内に飛び込んできたのは武蔵刑事だった。

感動の夫婦再開だ。

「武蔵刑事、一つ聞かせてください。奥さんのこと愛していますか？」

「はぁ？何を言っているんだこんなときに」

武蔵裕子は問いかけた青鬼を驚いた表情で見上げている。

再度問いかける青鬼。これは楽しんでるな。

視聴者数は１００万人以上。果たして武蔵刑事は言えるのか。

沈黙が流れる。

「今そんなことは…「答えてください！」

「あぁ。そうに決まっているだろ」

「何がそうに決まっているのですか？口に出して答えてください」

「………愛している」


言った。

「素晴らしいですね。ですが今そんなお二人は別居されているとのこと。なぜでしょうか？」

武蔵刑事の回答次第でこちらの動きも変わる。

妻が自分のせいで殺されそうになっている状況に耐えかねたのゆっくりと口を開く。

「一年前。俺は人を殺した。それ以来何も手がつけられなくなった。
それで…家族がバラバラになってしまった」

「全部、俺のせいだ…これで満足か！」

言葉にすることはとても大切なこと、大切な人はいつ消えてしまうのか分からないのだから。

「素晴らしい懺悔でした。さて、本題に入りましょう」

次は長門知事の命と引き換えの取引だ。

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