茜色の空の下で走る貴方 ページ45
8月23日
枕元で鳴ったiPhoneのバイブ音で目を覚ます。
寝ぼけ眼のままホームボタンを押せば、表示された時刻は午前9時。
<本日18時半、ご来場心よりお待ちしております>
受信したメールを開くと差出人の欄には”内田篤人”の文字が浮かんでいた。随分かしこまったわざとらしい文章に、つい笑ってしまいそうになる。
ひとつ伸びをしてからベッドを降りる。
直ぐ隣に敷かれた布団を踏まないようカーテンを開ければ、清々しい朝の日差しが部屋中に降り注ぐ。
繭「ん〜…眩し〜」
朝一番にこの掠れた声を聞くのは三日連続だ。
互いに特に予定がない日が続くと、こうなることは当たり前。
洗面所に向かおうと布団を跨げば、何かを踏んだ感触と共に”いてっ”と不機嫌な声が朝に響いた。
今日も昼まで寝ていた繭子と朝食兼昼食を済ませ、彼女がメイクをしている横で私は一泊分の荷物を鞄に詰める。
”サッカー観戦だからカジュアルな服装が良い”だとか、”結局ユニフォームを買わなかったのだからせめて赤い服を着ていけ”だとか、そんなことをああだこうだ言い合っていても、やはりあの夜以来後ろめたさは若干薄れた。
”ブーッ”
<旅のしおり
持ち物、薄手の上着(夜寒い)>
繭「あ、確か持ってたじゃん!赤いカーディガン…ほら、これこれ」
クローゼットから赤いカーディガンを引っ張り出してきた繭子。
”派手じゃない?”なんて愚痴りながらも、私はそれ受け取り鞄の中に詰め込んだ。
繭「ね、髪巻いてやろーか」
「いい」
繭「遠慮すんなってー」
こうしているとあの夏の日を思い出す。
ただ無邪気に恋の話をした、あの日の私たち。
繭「うん。いつもより五割増し」
鏡に映る彼女はあの日のように笑っていた。
目尻につけた付け睫毛に違和感がなくなった私たちはもう、あの頃より少し大人になれたのかもしれない。
繭「あちー」
天気は快晴。駅まで続くアスファルトに夏の日差しが照りつける。
”ブーッ”
<※着いたら売店でモツ煮を買うこと(激ウマ)>
繭「さっきから何なの。このメール笑」
太陽を見上げた繭子は眩しそうに顔を顰める。
繭「でも良かったね、晴れて」
太陽を見上げた繭子はくしゃりと笑う。
繭「じゃ、しっかり応援して来いよ」
別々の階段を上る私たち
向かい側のホームで大きく手を振る繭子に、私も小さく手を振ったー
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laiz(プロフ) - 娘×2さん» 娘×2さん、はじめまして。初めから読んで下さりありがとうございます!確かに、まだ誰も「好き」とは言葉にしていませんね^ ^いつ頃その言葉が出てくることでしょう…そして初めに言うのは誰かな(^-^)続編「月白(つきしろ)」を作成致しました。是非覗きにいらして下さい (2014年10月24日 20時) (レス) id: 2a8e7ae77e (このIDを非表示/違反報告)
娘×2(プロフ) - 初めまして(^-^)『碧』から読み始めてやっと追い付きました!!まだ誰も『好き』と伝えてないのにキュンキュンしまくってます。続きが楽しみです♪待ってます(*^^*) (2014年10月23日 20時) (携帯から) (レス) id: d30826829b (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - みいさん» みいさん、お返事が遅くなってしまい申し訳ありません>_<おっしゃる通り、その内亀に抜かれますね(^ ^)笑”現在編なんてサクッと好きって言っちゃえばいいのにと思いつつ、このもどかしい距離を書くのが大好きなんです!笑”これからも変わらずお付き合い下さいね♪ (2014年10月23日 19時) (レス) id: 2a8e7ae77e (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ひろさん» ひろさん、お返事が遅くなってしまい申し訳ありません>_<私もスタジアムのシーンを書きながらあの味を思い出してヨダレが出てきました。笑”美味しいんですよね!鹿島にいた頃は特別内田さんのファンではなかったのですが、試合は何度か見に行きました。懐かしいな〜 (2014年10月23日 19時) (レス) id: 2a8e7ae77e (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - とまとさん» でもそれ以上の喜びややり甲斐を皆様が下さるから、こうして続けられているのだと思います(*^_^*)「課金制でも読みたい」最高の褒め言葉に心が震えています。(本気です笑)皆様ご期待を裏切らないよう、執筆頑張るぞー!負けませんっo(`ω´ )o (2014年10月23日 19時) (レス) id: 2a8e7ae77e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:laiz | 作成日時:2014年8月30日 20時