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篤「てか一人、だよね?」

「うん」






一生懸命にルールを説明してくれたその横顔を覚えている

二人で歩いた秋の夜は少し肌寒かった






篤「じゃあシングルでいい?」

「え?」

篤「ホテル。泊まってくっしょ?」






胸が痛かった

腹が立った






「え、帰るよ。」

篤「いや、遅くなるって。」

「大丈夫」

篤「ダーメ。それで帰り道になんかあったらたまったもんじゃないからね。」






夜空に浮かんでいた青白い月に

貴方の答えを見た気がした






篤「次の日なら送ってけるからさ、そっちまで。だから泊まれって。」






少し照れたようにそう言う彼に、直ぐに頷いてしまいたくなる。

でも素直になれない私の唇は、やはり寄り道をしないと気が済まないみたいだ。






「…それは、本当?」

篤「え?」

「今度は嘘じゃない?」






数秒の沈黙がやけに耳に響く。

電話の向こう側で彼は今、どんな顔をしているのだろうか。






篤「……あー、」






忘れたなんて言わせない。
覚えていないなんて言ったら軽蔑する。






篤「…根に持ってる感じ?笑」






あの日瞳を逸らした貴方も。
窓辺に見えたその姿も。



貴方のついた優しい嘘は、
私にとって何より残酷なものだったのだから。






「…別に?」

篤「ふっ、今回はまじ。本当。」






微かに笑いながらそう言う彼は狡いと思う。

その声色は謝っているようにも聞こえるし、お互い様だと私を責めているようにも聞こえる。






篤「もう嘘はね、つきませんよ。まじで。」






でもそう小さく呟いた彼はきっと、謝るだとか責めるだとかそんなことではなく、

ただ間違ってしまった過去を必死に正そうとしてくれているのだろう。






「…わかった。」






そんなに真っ直ぐでいられると少し戸惑う。

私は、その気持ちを逸らしてばかりいた彼しか知らないから。






篤「ん。お待ちしてます。」






耳元で鳴る彼の声は優しかった。

あの秋の夕暮れとは何故だか違って聞こえる、優しく掠れた声だったーー

逸らされた気持ち→←向けられる気持ち



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laiz(プロフ) - 娘×2さん» 娘×2さん、はじめまして。初めから読んで下さりありがとうございます!確かに、まだ誰も「好き」とは言葉にしていませんね^ ^いつ頃その言葉が出てくることでしょう…そして初めに言うのは誰かな(^-^)続編「月白(つきしろ)」を作成致しました。是非覗きにいらして下さい (2014年10月24日 20時) (レス) id: 2a8e7ae77e (このIDを非表示/違反報告)
娘×2(プロフ) - 初めまして(^-^)『碧』から読み始めてやっと追い付きました!!まだ誰も『好き』と伝えてないのにキュンキュンしまくってます。続きが楽しみです♪待ってます(*^^*) (2014年10月23日 20時) (携帯から) (レス) id: d30826829b (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - みいさん» みいさん、お返事が遅くなってしまい申し訳ありません>_<おっしゃる通り、その内亀に抜かれますね(^ ^)笑”現在編なんてサクッと好きって言っちゃえばいいのにと思いつつ、このもどかしい距離を書くのが大好きなんです!笑”これからも変わらずお付き合い下さいね♪ (2014年10月23日 19時) (レス) id: 2a8e7ae77e (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ひろさん» ひろさん、お返事が遅くなってしまい申し訳ありません>_<私もスタジアムのシーンを書きながらあの味を思い出してヨダレが出てきました。笑”美味しいんですよね!鹿島にいた頃は特別内田さんのファンではなかったのですが、試合は何度か見に行きました。懐かしいな〜 (2014年10月23日 19時) (レス) id: 2a8e7ae77e (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - とまとさん» でもそれ以上の喜びややり甲斐を皆様が下さるから、こうして続けられているのだと思います(*^_^*)「課金制でも読みたい」最高の褒め言葉に心が震えています。(本気です笑)皆様ご期待を裏切らないよう、執筆頑張るぞー!負けませんっo(`ω´ )o (2014年10月23日 19時) (レス) id: 2a8e7ae77e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:laiz | 作成日時:2014年8月30日 20時

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