検索窓
今日:13 hit、昨日:3 hit、合計:287,974 hit

5 ページ5

「意外とミーハーだね。」

篤「逆逆。良いなって思ったもんが、大多数の人間が好きだったってだけ。」

「…ふーん?」






目の前の車窓に目をやれば、一つのイヤホンを分け合う私たちの姿が映っていた。

その距離は何だか随分近いような気がして、
気づけば、足と足が微かに触れていて、






篤「どう?いいっしょ?」






旗から見たら私たちは、どんな風に見えているのだろう。






「…さあ。良くわからない。」






座り直すふりをして、ほんの少し彼から離れる。






篤「はー?まじ全然わかってない。ちょ、これ聞いてよ。これ。」






煩いほどの鼓動の音は一体何なのだろう。

触れていた足が熱いのは何故なのだろう。






「なに?これ。」

篤「Walking Proud。これはまじで名曲だから。」






先程見たあの場面に、今だに胸がざわついている理由は何?






「……さっきの女の子って、二年生の子?」






流れ出したキーボードのイントロを聴きながら、その理由を少しずつ感じ始めていた。






篤「あ?あー、そうじゃん?」






突然切り替えた話題に、彼はイヤホンのコードをくるくると指に巻きながら頷く。






「へー。あんな可愛い子が内田くんのこと好きだなんて、世の中って良くわからないね。」






パッと此方に顔を向けた彼。

目を逸らしていた私の顔を覗き込むと、面白そうにふっと鼻で笑って、






「…何よ?」

篤「いや、別に?笑」






照れてみたり、余裕だったり、
コロコロ変わるその態度が、掴み所が無くて嫌いだ。






篤「でもさ、俺考えらんないんだよね。」

「?」

篤「自分から告白できる奴って、頭ん中どーなってんのって。笑 恥ずかしいっしょ、フラれたりしたら。」






予想通り、今度は少し照れたようにそう言ってみせる彼。






「だけど勇気を振り絞って言ってくれたその子を、内田くんはさっき振ったんでしょ?」






外していた視線をチラリと此方に向けた彼は、”相変わらず厳しいこと言うね。”と小さく笑った。






「…、」






いま隣に居る彼に安心している私と、きっと泣いているあの子を不憫だと思っている私。

そのちぐはくな心は、私もあの子と同じ想いを彼に抱いているせいなのかもしれない。



初めての気持ちに戸惑っているままにぶつけてしまった言葉を、言ったそばから少し後悔する。

6→←4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (240 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
523人がお気に入り
設定タグ:内田篤人 , 日本代表
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

laiz(プロフ) - 娘×2さん» 娘×2さん、はじめまして。初めから読んで下さりありがとうございます!確かに、まだ誰も「好き」とは言葉にしていませんね^ ^いつ頃その言葉が出てくることでしょう…そして初めに言うのは誰かな(^-^)続編「月白(つきしろ)」を作成致しました。是非覗きにいらして下さい (2014年10月24日 20時) (レス) id: 2a8e7ae77e (このIDを非表示/違反報告)
娘×2(プロフ) - 初めまして(^-^)『碧』から読み始めてやっと追い付きました!!まだ誰も『好き』と伝えてないのにキュンキュンしまくってます。続きが楽しみです♪待ってます(*^^*) (2014年10月23日 20時) (携帯から) (レス) id: d30826829b (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - みいさん» みいさん、お返事が遅くなってしまい申し訳ありません>_<おっしゃる通り、その内亀に抜かれますね(^ ^)笑”現在編なんてサクッと好きって言っちゃえばいいのにと思いつつ、このもどかしい距離を書くのが大好きなんです!笑”これからも変わらずお付き合い下さいね♪ (2014年10月23日 19時) (レス) id: 2a8e7ae77e (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ひろさん» ひろさん、お返事が遅くなってしまい申し訳ありません>_<私もスタジアムのシーンを書きながらあの味を思い出してヨダレが出てきました。笑”美味しいんですよね!鹿島にいた頃は特別内田さんのファンではなかったのですが、試合は何度か見に行きました。懐かしいな〜 (2014年10月23日 19時) (レス) id: 2a8e7ae77e (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - とまとさん» でもそれ以上の喜びややり甲斐を皆様が下さるから、こうして続けられているのだと思います(*^_^*)「課金制でも読みたい」最高の褒め言葉に心が震えています。(本気です笑)皆様ご期待を裏切らないよう、執筆頑張るぞー!負けませんっo(`ω´ )o (2014年10月23日 19時) (レス) id: 2a8e7ae77e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:laiz | 作成日時:2014年8月30日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。