君の声を

No.12-2 ページ28

慧「…だいちゃ、ん。これ、大ちゃんの後ろの棚に置いといてくれない？」


そう言って、雑誌を渡される。


大「うん＿」


＿バサッ


受け取る寸前に、落ちてしまった雑誌。



大「？ごめん、手ぇ滑っちゃったかも、」



拾いあげようとしてそういう。




でも、めずらしくいのちゃんになんの反応もなかった。



いつもなら、どんな他愛のない話でも、反応なんかいらない話でも、相づちを返してくれるのに＿＿









大「＿＿いのちゃん？」




＿ドクンッ




心臓が暴れ出して

呼吸が乱れ始める。



いのちゃんが、苦しそうな呼吸をしていた。





＿あの時と、一緒だ。


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

慧「トイレ行ってくるね〜」


薮「早く戻ってこいよー」


〜〜〜〜

涼「ねえ、伊野尾ちゃん遅くない？」

知「うん。もう場当たりなんだけど…」




大「……っ俺、ちょっとトイレ行ってくる！」



いのちゃん。いのちゃん。いのちゃん。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

キミはどうして言わないの？

つらくても、つらいって。

かなしくてもかなしいって。

くるしくても、くるしいって。



どうして、何も＿





大「どう…したの？いのちゃん…だいじょう、ぶ？」



いのちゃんの返事は無くて、相変わらず苦しそうに呼吸をつづけている。




＿どうしたら、いい。




冷静になれ、ここは病院だぞ？



俺は慌ててナースコールを押して、看護師さん達が来るのを待った。



「いのちゃん、…っ…いのちゃん＿」


あの時のように、いのちゃんの手を握りながら。

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