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「っ、う…あの、恥ずかしいかも」
「…ん」
名残を惜しむように自分の頬を手に擦り寄せ、「冷たくて気持ちいな」と笑った。
なんだろうこの違和感。
明らかに…幼少期の轟焦凍と何かが違う。小さい頃私を蹴り飛ばした焦凍くんより、公園で泣いていた焦凍くんより、
「なんか轟くん、明るくなった？」
…表情も口調も、以前より柔らかくなった。
私への好感度が上がった…というのもきっとあるのだろうけど、それ以上の何かがある筈だ。彼を変えた何かが。
「過去の事、精算しなきゃいけねぇ事が…解決、はしてねぇけど一歩スタートラインに立てたんだ。これから精算していく。…俺は、ヒーローになってもいいと」
そう、母さんから。最後の方は小さくて上手く聞き取れなかった。
ああ、なにその誇らしげな顔。ゆるんだ口元。憎らしい、本当に憎らしい。
精算しなきゃいけないこと？いやいやいや金田Aの事はどうなの？精算しなきゃね？自分の父親からの過度な訓練によるストレスと愛する人から構って貰えない嫉妬を幼なじみで発散してました(笑)って。どうもすみませんでしたあの時は蹴って殴って泥水飲ませて、ああそうだ虫が沢山入った倉庫にも閉じ込めたね。ねぇ、どうするこれ。土下座して済ませられる？ヒーローになれる？私は絶対許さないけど、社会はきっと君の綺麗な顔を歪ませて大泣きしながら謝ったら許してくれるかもね？誠意を込めて断髪式とかやってみたら？あはは、どうするのさ教えてよ。
「……良かったね。本当に、良かった」
涙が自然と込み上げてきた。この涙はあなたを歓迎するものじゃないから、祝福のものじゃないから、勘違いはしないでね。
「…ありがとうな、上条」
肩に顔を埋めて幸せそうに深呼吸をする焦凍くん。6年間七彩も自分の母親も居なかったから溜まっていたのだろう。元々この人は末っ子気質、甘えん坊だ。
＿＿＿憎い、嫌い、気持ち悪い、鳥肌が立つ、私を殴ったくせに、引っ張り回して鳩尾を蹴ったくせに、ああ、でもそれでも、
震える手で、彼をゆっくり抱きしめた。
＊＊＊
金田はAの旧姓です。両親が離婚したから母方の名字。姉の七彩は父親に引き取られたのでそのまま金田です。
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てんびん(プロフ) - すごいこの話好きです！絵もお上手ですね！面白かったです！これからも頑張ってください( ᐛ )و (3月17日 16時) (
レス) @page24 id: 2e60fcae90 (このIDを非表示/違反報告)
モエ - めちゃくちゃ大好きです！ (2023年1月5日 19時) (レス) @page12 id: ccd05087e8 (このIDを非表示/違反報告)
まお - わぁ、めちゃめちゃ好みの小説でした..！評価しておきました！ (2022年7月2日 16時) (レス) @page11 id: 160b3a4401 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃(プロフ) - 今まで見たことないタイプの作品です！！ちょっと見ただけでめっちゃハマりました。 (2021年8月10日 21時) (レス) id: c579d00236 (このIDを非表示/違反報告)
とろろん昆布(プロフ) - 私はとても好みなのですが低評価が増えてしまったのにキャラヘイトともとれる表現があるからではないかなぁと思いました。あくまでも一個人の考えですので参考程度に… (2021年4月13日 16時) (レス) id: e26948917f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春風 恋
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2021年2月6日 13時
