20 ページ20
切島鋭児郎。
自己肯定能力が低い、理想主義。エゴイスト。切島くんは自分の理想を追い求めるあまりに『自分らしさ』を失いかけている。
「俺は……っ、俺は強くなりてぇ。みんなを守れるヒーローに…。でも、弱いままの俺じゃ救えるもんも救えねぇよ…」
膝をついて涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔にレースのハンカチを当てて口を開いた。
＿＿＿さぁ、彼の開いた心の扉の中に入ろう。そうして今度は誰も入らぬ用に鍵をかけなくちゃね。
「…切島くんの意見を否定する訳じゃないよ。でも、助ける、守るだけがヒーローかな」
「……？」
「同じクラスじゃない私がA組に憧れちゃう位、あそこは素敵な雰囲気に包まれてた。中心に居たのが切島くんだったの。キラキラ輝くあなたの笑顔に…私も含めて全員救われてたんだよ」
こんなの、いじめられたままの記憶を背負ってる私からすれば綺麗事でしかない。青春なんてクソ喰らえ。
でも、彼は大切なキーパーソンだから…。
「人の命を救うだけがヒーローじゃないの。切島くんの笑顔は、A組を明るく照らしてた。貴方はね、一年A組のヒーローだよ」
だから、貴方は。そう言い終わらないうちに切島くんは勢い良く立ち上がり、裾で乱暴に顔面を拭いた。…ハンカチあげたんだからそれで拭きなよ。
「…さんきゅー。上条の言葉に救われた！俺、ずっとうじうじしたまんまだった。漢らしくねぇよな…。うっし、これからもっと頑張るか！」
「おーう！漢らしい良い笑顔！ついでに夕飯奢ってよ〜」
「ったく現金な奴！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 773人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てんびん(プロフ) - すごいこの話好きです！絵もお上手ですね！面白かったです！これからも頑張ってください( ᐛ )و (3月17日 16時) (
レス) @page24 id: 2e60fcae90 (このIDを非表示/違反報告)
モエ - めちゃくちゃ大好きです！ (2023年1月5日 19時) (レス) @page12 id: ccd05087e8 (このIDを非表示/違反報告)
まお - わぁ、めちゃめちゃ好みの小説でした..！評価しておきました！ (2022年7月2日 16時) (レス) @page11 id: 160b3a4401 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃(プロフ) - 今まで見たことないタイプの作品です！！ちょっと見ただけでめっちゃハマりました。 (2021年8月10日 21時) (レス) id: c579d00236 (このIDを非表示/違反報告)
とろろん昆布(プロフ) - 私はとても好みなのですが低評価が増えてしまったのにキャラヘイトともとれる表現があるからではないかなぁと思いました。あくまでも一個人の考えですので参考程度に… (2021年4月13日 16時) (レス) id: e26948917f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春風 恋
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2021年2月6日 13時
