五月に咲く花 ページ28
五月病。やけに可愛い名前ではあるが、鬱の一種。(まぁ諸説あり)
＿＿＿新しい環境に適応できない事を起因として起こる精神的な障害…。
今かよ、もう轟Aとして何年も居るのに。
ふっ、と力なく笑う。あれから私は何をするでもなく、ずっと空を見ていた。時々焦凍が来て、今まで以上に私に甘えて、私はそれを受け入れるしか無くて。
＿＿それしか償い方を知らないから。
今まで私とママに分けていた『愛情』を、ママが居なくなってしまったことで一気に私に来てしまった。
稽古の後、ボロボロになった体で私の部屋の引き戸を開ける。虚ろな目で私を見て、その後縋るように抱きしめるのだ。
そんな事が日常化しつつある今日、パパが私の部屋に来た。あの惨劇以来はじめての訪問である。
「俺を、恨んでいるか」
虚ろげに遠くの方を見ていると、パパが重い雰囲気で言った。ノックはしたのだろうか。相変わらず距離感のわからない人だ。
「………私がパパに、恨む事なんて無いよ」
これは間違いなく本心。そもそも私が彼を恨む立場ではないから。
パパはどういう表情をしているのだろう、とぼんやり思った。後ろを振り向けばすぐ分かることなのに、それをしようとは思わない。
ほんっと五月病見たいだな、メンタル弱っ。
「……お前は、そう言うと思った」
「あはは、うん。でもね、少し怖かった」
「怖い？なぜだ」
「…………私のせいで、みんな居なくなっちゃう気がして。私が居る意味あるのかな、こんな弱個性な私が」
言った後に後悔した。これじゃあ慰めて欲しいみたいな言い方じゃないか。
しかし、私のせいでみんなが居なくなってしまうと、本気で思ったから。取り乱した母、最後に見た燈矢にぃの笑顔。ぐるぐると同じ場面が狂った映画のように流れる日々。
＿＿＿怖い。
小さく嘆息を漏らすと、視界がぐりんと一転した。先程の青い空とは真逆の、燃えるような赤い髪。
「俺を見て話したらどうだ。……二度も言わせるな、お前は俺の自慢の娘だ。お前のせいでは無い」
全ては俺のせいだと、優しく私の頭を撫でる。その手つきに涙が出そうだ。
＿＿＿そんな訳ない…っ、どうしてこう極端なのかなこの人！！
思わず声を上げて笑ってしまう。なんだろう…先程まで悩んでたのが馬鹿らしい。
「私はね、パパを恨んでなんかないよ！」
もう一度、パパの体に染み込ませるように言う。ふふっ、といたずらっ子のように笑ってパパの顔を包んだ。
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コウ(プロフ) - 前に見て探してたんですけどもう一度見てもとても面白かったです！とても好きな作品の一つなのでパスワード解除をいつまでも待ってます (1月9日 14時) (
レス) @page36 id: eadaa937b0 (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - 数年前の記憶頼りにやっとこの作品を見つけられました！体育祭編が特に大好きだったんですけど、もう見れなくなっていてとても寂しいです。ヒロアカの作品の中で1番好きな作品なのでパスワード解除を願っています。 (12月25日 15時) (レス) id: 88c4b07abd (このIDを非表示/違反報告)
猫春#ねこはる - 何故、、 何故、、、何故今出会ったんだ!!もっと前に出会いたかったうええええええん(泣き声赤ちゃん) (12月25日 13時) (レス) @page3 id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
K - もっと早くこの作品に出会いたかった、 (12月25日 12時) (レス) @page36 id: 604c6c9f40 (このIDを非表示/違反報告)
ＭＡＯ(プロフ) - 最高に面白かったです。続きが気になりますのでパスワード教えて下さい。 (12月20日 22時) (レス) id: 7661953892 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春風 恋
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2020年8月29日 11時
