大嫌いと切り捨てて【約ネバ】

愚かな私を見ればいい。 ページ9

「…う、そでしょ…、私達は今までなんのために…じゃあ、コニー達は…」



その場にペタンと座り込むと、ノーマンとレイも駆け寄ってきた。



その隙に、ノーマンとエマに絶対バレないよう、医療用のメスで自分の腕を切る。

より本当に泣いて見えるように。



「…ゔゔっ……うあああああっ！！」



ズキンズキンと切れた箇所が痛い。
でも、これでノーマンとエマは、後に私がスパイと考える可能性も低くなる。


早くしなければ、切った場所から血が滲んでしまうので、私は早々に口を開いた。



「わたしに、出来ることないかな？……みんな、を…助けたい…っ」


ポロポロと涙を流し、嗚咽をあげながら言う。



エマがそっと私を抱きしめ、「一緒に逃げよう」と言ってくれた。

ごめん、エマ。私は貴方を裏切ることになる。




「………目、腫れちゃうとママに心配されるから、冷やしてくるね」

そう言って足早にその場を離れる。






あまり深く切っていないはずなのに、腕がズキンと痛かった。









＊＊＊＊


蛇足です。


Aは、みんなのことはきちんと好きです。
でも、ノーマンを救うためには、その感情が無意味であることに気づきました。


だから、自分の感情を押し殺して、『優しく弱いA』と、『ノーマン以外いらない冷徹なA』という2つの顔を演じます。


本当の彼女は、もっと優しい子です(って言うのを次書きます。ハウスの秘密を知ったわけも含めて)

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