あなたと私の幸せな世界【イナイレ】 (ページ8)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:1,022 hit

8話転校とか聞いてないんだけど殴るよ前ページ8

土門くんは良い友人だ。

同じクラスで同じ部活だからと言う理由で1年の頃から仲がよかった。
ただ帝国はサッカー部の人数が多いから土門くんはレギュラーではなかったけれど、一生懸命練習をする彼の姿には好感が得られた。

お互いの置かれている立場や状況がよく分かるからか！いつの間にか愚痴を聞いてもらったり相談したり、されたり…。
そんな関係だった。

だからかなり近しい関係である事は否定しない。
その土門くんが転校するらしい。

｢…レギュラーになれないから？｣
｢ん？あぁ桜花。何がだ？｣

今日の朝練の時にその話を聞いて、ずっとなんでだろうって考えていた。
でも彼がうちの学校を離れる理由なんて思いつかなくて、転校の手続きがあるからと練習を休んだ土門くんを追いかけた。

｢土門くんが転校する理由。レギュラーになれなかったから？｣

もう一度繰り返して問うと土門くんは一瞬不思議そうな顔をして、それからとぼけた様な笑顔を浮かべる。

｢んなまさか。両親の都合だよ｣
｢引っ越すの？｣
｢いや、やっぱ私立は交通費と学費が高いから地元の公立に転校するだけさ｣

嘘、だと思う。
土門くんの家は確かにそんなにお金持ちじゃないけど、最近は事業が上手くいっていると聞いた気がする。
今まで払えていたのだから、上手くいっている今払えなくなるわけがない。
単純な子供の考えだし、詳しい事情を知らないからなんとも言えないけれど。

｢……そっか｣

少し考えた後、結局私が口を出して良い事ではないと思ってこれ以上強く聞くのはやめた。