八つ当たり ページ8
零side
ふあぁあ。思わず欠伸がもれる。
こんなに早く起きたのは久しぶりだ。
......やっぱり、無理して家に帰らずに学校に泊まるべきじゃったかのお?
凛月と一緒に登校しようとしたけれど、凛月は先に学校に行ってしまっていたし。
欠伸とともに出た涙を拭くと視界が明瞭になる。前を見て思わず自分の目を疑った。
......あれは、澪くん?
澪くんと水色の髪の子が一緒に前を歩いているのが見えた。水色の子は微笑みながら澪くんの横髪を触っている。澪くんも触られていることに嫌な顔をせず、しかもとても幸せそうに笑っている。結構距離があるため話こそは聞こえないが2人はまるで恋人のようだった。
......まるで。もしかすると"まるで"ではなく恋人なのかもしれない。
夢ノ咲の普通科の子は2人と距離をとって歩いている。「澪様と一様はやっぱり付き合っているのかな!?」なんて言いながら、2人の邪魔をしないように歩いている。
零は惨めな気分でその光景をみていた。
♢
先に学校について席に座っていた澪くんが我輩が教室に入ってきたことに気づいて頰を桃色に染めながら「おはよう、零」と挨拶をする。
あの光景を見る前ならば浮かれていただろうその仕草はあの光景を見た後だと何も感じなくて。酷く冷えた心地で「おはよう」と目も合わせずに返した。
澪くんの左側の横髪は綺麗に編み込みされていた。きっとあの水色の子がしてくれたのだろう。我輩の席は澪くんの左側。つまり澪くんのヘアアレンジが常に目に入るわけで。
意識してしまうほど朝の光景を思い出してイライラしてしまう。澪くんも我輩の様子に気づいて気にかけているようだが、それにフォローする気分にもなれなかった。
お昼休みになる。
「零、あのね、お昼、一緒に」
「零!久しぶりにお昼を一緒に食べませんか?」
「え、」
「おや〜?すみません、先客がいましたか?
申し遅れました、真っ白な天使さん。あなたの日々樹渉です!さあ、バラをどうぞ。鳩もいますよ。一緒に言いましょう、Amaging!」
「先客はおらんよ。久しぶりに一緒に食べることにするかのお。ほら、仲の良い友達のように......♪」
「......零」
「それはよかった!さぁ行きましょう、友よ!」
澪くんが少し泣きそうになっているのを見て心が痛んだが、それを振り切るように日々樹くんについて行った。
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作者名:チロキシン | 作成日時:2019年1月3日 21時