仲直り ページ12
零side
先に席に座って澪くんが帰ってくるのを待った。学ランについたチョークの粉を払いながら澪くんは席に戻ってくる。
「ん?零。どうしたの?」
我輩の視線に気づいたのか澪くんは席に座って自分の襟足を指でクルクルと弄びながらニコリと笑ってきく。
「......澪くんに後から伝えたいことがあるんじゃが、放課後、UNDEADのレッスンに行く前に澪くんの時間を少し我輩がもらっていいかえ?」
「え、いいけど、」
伝えたいことって何?そう言おうとした澪くんを遮るように教師が教室に入ってきた。
♢
「起立、礼。」
今日の日朝である青葉くんの声が放課後になったことを告げる。
「れーい!伝えたいことって何?俺、気になって授業に集中できなかったんですけど。」
「いや、澪くんいつも授業そんなにきいてないじゃろう。ノート取ってないし」
「?零もでしょ?ってか俺は一回聞いたり見たりしたら覚えられるから黒板はノートに写さなくても大丈夫だし。」
澪くんが規格外の天才であったことを忘れていた。あの天祥院くんさえそこまでチートじゃないだろう。
ってダメだダメだ。自分は澪くんの天才度を確認する為じゃなくて謝るために澪くんの時間をもらったのだ。
「......つっこみたいこと満載じゃが、それは置いておいて。我輩、澪くんに謝りたいんじゃよ」
「俺に?」
「うむ、澪くんに。朝からお昼くらいまで澪くんにキツくあたってあったじゃろう?
あれは、その、澪くんが朝、知らない人と歩いていたからイライラしてしまって。
あ〜、でも澪くんは悪くなくて、我輩の問題で。何が言いたいかって言うと、すまなかった。」
澪くんの顔が見れなくて思わず下を向いてしまう。すると澪くんが、零、顔をあげてよ、と言うので処刑をまつ囚人のような気分で顔をあげる。澪くんに嫌われてしまっただろうか。面倒くさい男だって。あ、想像したらなんか心臓にぐさっと来た。
澪くんは想像していた冷たい表情じゃなくて照れたように頰をバラ色に染めながらも真剣な表情をしていた。
「ねえ、零。それって嫉妬?」
「かもしれん。じゃなくてうん。嫉妬。」
「......俺は、零が嫉妬してくれて嬉しかったよ。さ、レッスンに行こ!!」
どういう意味、と聞く前に澪くんが我輩の手を引いて走り出す。
慌てて澪くんを見ると耳が紅くなっているし、後ろから見てもわかるほど照れていた。
.....ああ、ダメだ。好きって気持ちが抑えられなくなる。慌てて緩む口元を手で隠した。
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作者名:チロキシン | 作成日時:2019年1月3日 21時