夢の咲学院"普通科"生徒会長［男主］ (ページ11)

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澪くんの授業ページ11

零side

「あ、零ちん！おかえり～」

昼休みが終わる20分くらい前に教室に戻る。
教室では前黒板を使って澪くんによる授業が催されていた。黒板に書いてある内容を見る限り英語をしているようだ。

「あ、零。おかえり！」

八つ当たりして傷つけてしまったにも関わらず澪くんは相変わらず綺麗な笑みを見せてくれる。さっきまでの八つ当たりするようなちっぽけな自分を恥ずかしく思った。今度はちゃんと目を合わせて、ただいま、と言う。

「澪、また筆記体になってるぞ」

「へ？あ、ごめん。気ぃ抜いちゃった」

黒板を見ると澪くんの英語が途中から筆記体になっている。澪くんが慌てて消して書き直す。
伸び伸びとしていて、かつ綺麗な字は澪くんの性格を表しているようだった。

「何をしているのかえ？」

「おぉ、レイ！うっちゅ～♪
澪にみんなで勉強を教えてもらっているんだぞ！あ、待って！霊感が！！」

「......月永くん、教えてもらっているって言いながら普通にいつも通り作曲してないかえ？」

「あ、はは～。レオちんも最初らへんは真面目に聞いてたんだけどね。けど、澪ちんほんとに教えるのうまくて分かりやすいんらぞ！」

「あと1ヶ月後に1学期末テストがあるしな。
......最初は澪の得意教科の数学を教えもらってたんだが、どうもレベルが違いすぎてな。てんでさっぱりだったから英語を教えてもらっているんだ」

澪くんがちょっと申し訳なさそうな顔をしている。レベルが違いすぎる、と言うのもそんなに誇張された表現ではないのだろう。
昨日の授業では澪くんはノートこそは開いているがそのノートには何も書かずにただボーっと教師と黒板を眺めていた。まあ、我輩もノートは取らないから何も言えないんじゃけど。

「澪くんは期末テストは普通科で受けるのかえ？」

「うん。まあ普通科はアイドル科よりもちょっと早くて2週間後にあるんだけどね」

「へえ。そうなんですね。初めて知りました。何で普通科は早いんですか？」

「えっと、体育祭の準備に最後の2週間が費やされるからだよ。ってもうすぐ授業始まっちゃう！うーん、途中で終わっちゃったけど分かんないことがあった人はあとで聞きに来てねー」

「うん。ありがとな、澪ちん！」

皆んなが澪くんにお礼を言う。
黒板には仮定法のifの省略と倒置について綺麗にまとめられていた。あ、我輩この授業受けたかった。