出会い ページ2
「あれ?零ちんじゃん。珍しいな。朝から教室にいるの。」
眠たい中体を起こしてやっとの事で教室に向かった。教室に入ると子ウサギ、もとい仁兎くんがそな真っ赤な可愛らしい目を大きく開きながら話しかけて来た。
「うむ。老人にも色々あるんじゃよ。」
「う〜。零ちん、まだ老人とか言える見た目じゃないくせに」
ほっぺを膨らませる可愛らしいこの子をさてどうしようかと思ったけれど、そうこうしないうちに先生が教室に入ってくる。
時計を見るとHRが始まる時間であったのでそこで仁兎くんとは解散して自分の席につく。
「はい。じゃあ突然だけど転校生、じゃねーや。なんて言えばいいんだろ。まあ、今日から2ヶ月このクラスに来るやつを紹介するぞー」
先生がいつも通り適当に話を進めるがクラスの皆は急にきた話なので少々ざわざわし始める。
そんな生徒の様子を気にもとめず、先生は話を進める。
「入ってきていいぞ。あと自己紹介をよろしくな」
その青年が入ってきた瞬間、クラスのざわめきがおさまった。
「あー、五条 澪です。隣の校舎で生徒会長やってます。まあ、これから2ヶ月間お世話になるのでよろしくお願いします」
『ごじょう みお』そう名乗った青年に思わず見惚れる。自分と同じように襟足を伸ばしているが自分とは反対の白銀の髪は絹糸のように柔らかく、照明の明かりを少し反射してキラキラと輝いている。蜂蜜を煮詰めたような金色の瞳に桜色に色づく頰、淡い桃色の唇。どこをとってもその青年は美しかった。
少し前までは色々な国に行っていたが、ここまで美しい人を見たのは初めてだ。
完成された美貌をもつ青年。そんな例えがぴったりのように零には思えた。
「お前の世話は朔間に頼んでるから、まあ、困ったことがあれば朔間に頼れ、席も隣だからさ」
「さ、くま?」
「そう、朔間 零。おーい。朔間、わかりやすいように手を挙げろ。」
先生に名前を呼ばれて、ハッとして直ぐに手を挙げる。
するとその青年はゆっくりとこちらに向かって歩き出し、隣の席に座る。
「さくま れいっていうんだね。失礼だけど、漢字、聞いてもいい?」
「あ、数字の零。数学の零で零って書くんじゃよ」
「......俺のみおはね、数字の零にさんずいがついた漢字なんだ。ねえ、零って呼んでもいい?」
「......もちろんじゃよ」
澪くんは嬉しそうにとろけるような笑顔をみせた。
思えばこの笑顔を見たときにはもう恋に落ちていたのだ。
零がこの恋を自覚するのはまだ先の話。
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作者名:チロキシン | 作成日時:2019年1月3日 21時