夢の咲学院"普通科"生徒会長［男主］ (ページ1)

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出会う前ページ1

「明日から普通科の子が3-Bに来るから、朔間くんお世話をよろしくね」

「......は？」

昼休みにトマトジュースを買いに寝床である軽音部室から出て廊下を歩いていたところ、天祥院くんとすれ違い、そのすれ違いざまに放課後生徒会室に来てね、と呼び出しがかかった。

生徒会室に行かないてもあったが天祥院くんのことだ。行かなかったら面倒なことになるに違いない。渋々生徒会室に向かいドアを開け、柔らかなソファに座った。紅茶が出されるや否やこの目の前の男は微笑みながら意味の分からない冒頭の言葉を言ったのだ。
やっぱり葵くんたちにお使いを頼むべきじゃったか。後悔しても遅いとはこのこと。大人しく話の続きを聞くことにした。

「どういう意味かえ？」

「うん。明日から普通科の子、まあ生徒会長なんだけど、その子が来るんだよ。本当は僕が面倒を見るべきなんだろうけど、僕は3-Aだし、渉に任せてもいいけど渉だと普通の子は萎縮しちゃうかなって思って。まあ、普通科の生徒会長だから相当な天才で、普通ではないと思うけど。」

夢の咲は普通科とアイドル科が完全に分離していることで有名だ。まず、アイドル科は制服がブレザーなのに対して普通科は制服が学ラン。
それに加え夢の咲学院は普通科とアイドル科それぞれに1人ずつ生徒会長がいる。
夢の咲の普通科は清々しいまでに学力主義であり、それ故、生徒会長の決め方は特殊だ。
4月に3年生全員が文理共通のテストを受け、そのテストで一位だった者が生徒会長となる。
生徒会長のみが首に生徒会長である証として付けることができる純金の綺麗な鎖。それを目指して普通科の生徒は2年間死に物狂いで勉学に励むのだ。

零が生徒会長だったときの普通科の生徒会長は勉強しかできないような、堅苦しくてつまらない人物だった。

「なんで来ることになったねかえ？」

「アイドル科と普通科の分離が甚だしすぎるって院長が偉い人に言われたんだよ。今更すぎるんだけどねえ。まあ、形だけの交流さ。2ヶ月、アイドル科に来るらしい」

「長いのう」

2ヶ月アイドル科に来る。つまり零は2ヶ月もその生徒会長様の相手をしなければならない。
憂鬱な気分になる。しかし、それをお見通しのように彼は

「大丈夫。今回の生徒会長さんは月永くんみたいに天才タイプだから。君もきっと楽しめるよ」

と言った。

月永くん、タイプ。
まあそれなら楽しめそうかと心の中でひっそりと笑った。
零はその生徒会長に恋に落ちることをまだしらない。