第五十四話 ページ5
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矢張り、屋上の様に高い場所は嫌いじゃない
扇がれる黒の髪に少し視界を邪魔されつつも、晴天の空の下に鎮座するヨコハマの街を見守る
そろそろだろうか、この街がまるで死の街へと変貌を遂げるのは
下手に木の根も踏めないし、避難という意味でも此処に来たのだがちょうど人がいなくてよかった
流石にわざわざ四階の建物登ってきて襲う、なんて無いでしょうし
「……眠た」
後少しだと思うと微かな眠気。少し眠ってしまおうか
いやいや、睡眠を貪るのはまたでいい。いつでも出来る。後少し、後少しの我慢
「……血の匂い」
始まったーーーー。
「おーおー、阿鼻叫喚の地獄」
遠くを眺める様な仕草で街中に上がる黒煙や吹き飛ぶダンプカーに潰される一般車
潮風の潮の匂いよりも強い血の匂いに顔を軽く手で覆う。いつの間にやら地面に亀裂が走り、エグい話落ちていく人も遠めに見えた
「今日で終わりといっても、多分深夜帯なんだよねぇ」
手摺に身を乗り出し、腰掛けてブラブラと足を揺らす。白鯨は悠々と空を泳ぎ、地獄の様な地上はガン無視
そんな白鯨から、誰かが飛び出した
空に浮かぶ白に紛れて消えてしまいそうな白い少年。敦君だ
開いたパラシュートに吊るされる形でゆっくりと落ちていくが、彼の真横を小さな人形の様な物体が通過。パラシュートを大きく食い破っていった
地面へと真っ逆さまに落ちていく敦君
此処からは彼とマークさん、そして太宰さんに……ポートマフィアと探偵社のトップが面会
大幅な流れを思い出しつつ、建物の隙間に落ちて見えなくなった敦君を見届けた
「さて……これの通りなら、彼らも影響は確実に受けてる筈」
ペラリと指先でつまむ様にして何枚もホッチキスで留められた紙の束を出す
何行も連ねられた文字の羅列を殆ど無視し、一点。
とある一文にだけ目を向けた
『此処最近は森の中を彷徨い歩いている』
これが確実なものならーーー
「……ま、ポートマフィアが偽の情報掴まされる事なんて早々ないし」
文ストで所謂圧倒的な敵はたった一人だけ。
彼はまだ始動する時ではないし、多分大丈夫だ
バサッ!と火の上がる目鼻先の建物へと書類をばら撒いた。火の粉にやられて燃えて行き、剰えトチ狂った人間達に踏み荒らされ、到底読めなくなっていく書類
「早く夜にならないかな……」
眠いや、そう呟いて立てた膝に顔を
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まるげりーた - え、終わり⁈名残惜しすぎます〜! (8月20日 19時) (レス) @page48 id: cea80c1fef (このIDを非表示/違反報告)
桜の下(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年5月8日 13時) (レス) id: 6dcf85fe6b (このIDを非表示/違反報告)
ふふふ。 - 面白いです!!最高です!!応援してます!! (2018年4月23日 20時) (レス) id: 02b15496d1 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - 六十五話、「ただ浮かんでいる」の後の「胎内」は「体内」ではありませんか?更新早くてすごく嬉しいです!長文失礼しました。 (2018年4月15日 20時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
冬霞 六花(プロフ) - 第六十八話の、「ギルドには、ボスが必要です」の処が「ギルドには、バスが必要です」に成ってますよ、長文失礼しました。 (2018年4月15日 17時) (レス) id: b8417422b5 (このIDを非表示/違反報告)
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