探偵社の窓から突っ込んだら色々狙われてます

第八十五話 ページ36

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「何人かホテルの従業員を一時的に雇った
シェフもいるから、何でも好きにしろ」

「また、金遣い荒いんです、から……」

「前ならホテルごと買い取ったが？」

「…………はいはい、前言撤回しますよ」


病人に気を使わせるなっての。
ドヤ顔のボスがとてもウザいがまぁいい。報告をサボることになってしまうのは避けたいし、時間を見て抜け出そう

真っ白で少しスプリングの固い寝具に横たわり、素早く額に当てられた氷の冷たさに身を任せた
眼球にすら熱が篭っている感覚。予想外に躰を酷使していたのか、ピクリとも動く気が無くなった


「俺は戻る。安静にしていろ」

「ボス……標的、は、紫の目を……」


駄目だ、眠い。
言葉を云い切る前に睡眠欲と衝動に駆られ、目を閉じると少しばかり重いホテルのかけ布団に包まれ、敷布団に飲み込まれていく様に。

ボンヤリとした頭のままに、夢の世界へと引き込まれた



「……オルコット君、A君が倒れた」

『えぇ！？』

「次の仕事だ。『神の目』を起動させて紫の目をした男を探せ」

『えぇぇええ！？』


電話をかけ、驚くオルコットも無視して言葉を連ねるフィッツジェラルド
早足に部屋を出て、何人かの従業員に彼女を任せて自らの拠点へと向かっていった



我に敵無し、と妖しい笑みを浮かべてマントをはためかせる存在に気付きもせずに。

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