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第九話 ポートマフィア ページ10




「貴様か。ここ最近ポートマフィアの縄張りで頻繁に殺しを行う愚者は」

「……芥川 龍之介」


路地裏の闇の中から足を出し、手を口元にやり淡々と言葉を発する芥川
底の見えないドス黒い瞳にAは後退りしそうになる。生唾を飲んだ

ここら辺がポートマフィアの縄張りである事などとうの昔に知っていた。けれど報復を承知で殺しを行なっていたのは、正当防衛だ
しかしそれを芥川に訴えようがこれはきっと首領の命なのだから、耳を貸すはずがない


「『羅生門』」

「っ!」


芥川の黒服が獣となり襲いかかる
低空どころか胴体を食い千切らんと真っ直ぐ滑空した羅生門にAは最小限の動作でかわし、致し方ないとそのまま突っ込む


「自爆か、相打ち狙いか。

鬱陶しい」


見下した目で彼女を射抜く。羅生門はもう一体、芥川の懐から飛び出した
それに気付いた彼女が、咄嗟に上へと飛び、そのまま壁に張り付いた


「!!」

「っ、あ」


蛙の様に両手両足をぴったりと壁に張り付け落ちてくる気配すらない。Aはやってしまったと声を漏らし、芥川は一瞬呆気にとられたが、そういった異能だと思った芥川は直ぐに羅生門で襲う

一旦冷静になればこちらのものだと、彼女はその場から飛び狭い路地の壁を重力など感じさせない程に軽快に駆け、動体視力すらも追い付かなくなった芥川が焦って周りを見渡す


「まだ、殺されるわけにはいかない」


そう路地に響いた声。それは芥川の真後ろだった
ゾワリと厭な感覚が背筋を駆け上り、嫌悪に満ちた瞳で真後ろに振り向く

まるで闇の中に溶けたかの様に、そこはもぬけの殻。漠然とした闇だけが蔓延っていた。
逃げられた、そう察した芥川の機嫌は地に落ち、殺意ばかりが溢れる心中を押し殺し、早足にポートマフィアの拠点へと歩んでいく


「早かったね、芥川君」

「申し訳ありません……捕らえ損ねました」

「……そう。で?収穫は?」


無ければ許さない。そんな雰囲気を威圧と共に放つ首領 森 鷗外
そして彼の傍らでクレヨンをギュッと握って何かを描く幼女 エリス

芥川は少し息が詰まったが、直ぐに持ち直し口を開いた


「例の集団の、構成員の可能性が」

「!」


森は目を見開き、そしてほくそ笑んだ
思わず笑い声が漏れ、傍らのエリスがボソリと蔑む

嗚呼 漸く好機(チャンス)が来た。

歓喜で満ち溢れた声音に芥川はそっと目を閉じた

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柚羽(プロフ) - 和寂さんの書き方に惚れました!更新、応援してます! (2018年4月9日 22時) (レス) id: cf2592aa4a (このIDを非表示/違反報告)
庵脊(プロフ) - 夢主チャンに惚れました!!更新頑張ってください!勝手ながらも応援させていただきます!!! (2018年4月7日 5時) (レス) id: 4f85448558 (このIDを非表示/違反報告)
博多の塩 - 夢主ちゃんかっこ可愛い!色んな組織に狙われる...なんて美味しい展開←更新遅くても良いので頑張って下さい。 (2018年4月7日 0時) (レス) id: e9e8ce5522 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 主人公ちゃんかっこいいです♪素敵な作品ありがとうございます。 (2018年4月6日 21時) (レス) id: e557b2d593 (このIDを非表示/違反報告)
ほほふー - なんですか、この神作品(白目) (2018年4月6日 16時) (レス) id: b3e457f7f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:和寂 | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2018年4月5日 5時

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