第七話 ページ8
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「太宰さん、私は良心でやってるんです
ただ何も知らない子どもの様に駄々を捏ねてるわけじゃない」
「……やっぱり」
「は?」
「私達が探偵社である、ということを知っているということは、各々の名前程度は把握してるだろうなと思った」
頰の血を親指で拭いテレビという箱の中で見た、黒の時代の様な悪い笑み。
悠長に格好善いだの何だの云っていたのが懐かしい。今じゃ寒気しかないのだから
「そして君は、誰の頭脳が優れているのかも判っていて……そうだね、異能も知っていそうだ」
「……えぇ。知ってます」
厭という程見た。貴方達がこのヨコハマの為。
自らの居場所の為に奮闘する姿が、私には無い守るものを背に戦う姿が、何よりも格好善いと思った
そりゃあ見た目だってあるけれど、各々が自らの正義を信じて突っ走り、時に仲間に手を差し伸べる優しさが、生き甲斐となる程に好きだった。
けれど救いの手なんて、極一部。転生し思い出した今、そんな救いの手なんてあるわけないと断言する
中島 敦は、選ばれた人間なのだから
「けれど私は貴方達に関わらない。関わりたくない
それでは駄目ですか?」
「駄目だね。せめて君の正体を突き止めないと」
「それはこの世で一番無理なご相談です」
ピリッ、と空気が張り詰める。肌が痛い
影が差した気がする太宰さんの目の周り。アニメで何度見ても鳥肌が立った。格好佳くて、とても怖い
ふう、と一つ息を吐く
「今度こそ、さようならです
探偵社に付けた小型カメラは壊すなり何なりして下さい」
「……そうだね。そうさせてもらうよ」
肩を竦めてやれやれと云ったジェスチャーをする太宰さん
腕時計に仕込んだ電線を建物の壁に設置された階段の手摺に巻き付け、電線を直して行けば躰が浮き上がって、どんどん太宰さんは小さくなる
「君の正体、いつか必ず突き止めて見せよう」
「ーーーー楽しみにしてます」
まぁ、太宰さんと云えど絶対無理だと断言出来るけれど
何処か他人事の様に、私は階段に飛び乗り電線を回収。その場から消えた。
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柚羽(プロフ) - 和寂さんの書き方に惚れました!更新、応援してます! (2018年4月9日 22時) (レス) id: cf2592aa4a (このIDを非表示/違反報告)
庵脊(プロフ) - 夢主チャンに惚れました!!更新頑張ってください!勝手ながらも応援させていただきます!!! (2018年4月7日 5時) (レス) id: 4f85448558 (このIDを非表示/違反報告)
博多の塩 - 夢主ちゃんかっこ可愛い!色んな組織に狙われる...なんて美味しい展開←更新遅くても良いので頑張って下さい。 (2018年4月7日 0時) (レス) id: e9e8ce5522 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 主人公ちゃんかっこいいです♪素敵な作品ありがとうございます。 (2018年4月6日 21時) (レス) id: e557b2d593 (このIDを非表示/違反報告)
ほほふー - なんですか、この神作品(白目) (2018年4月6日 16時) (レス) id: b3e457f7f6 (このIDを非表示/違反報告)
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