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第四十七話 ページ48




「君は彼に好かれてるんだね」

「はは、不本意です」


乾いた笑いを漏らす。彼は本編では本国に戻っていたが、こうなって来ると正直どうなるか完璧には判らず頭が痛くなりそうだ

冷めた紅茶を見た彼が取り替えてくれて、また暖かい紅茶を差し出してくれた。礼を言いつつソファに身を沈める

序でに風呂も入ったのか少し湿っている髪にアイロンがかけられたのかピシリとした白シャツ。
目が合うと、柔らかく微笑んだ


「何故だろうね、君は何か僕と似てる気がする」

「口説き文句とは思いませんよ。
……ま、それは私もですからこうして話を持ちかけたんです」


家族を何より愛し家族の為なら全てを投げ打つ
異性の歳下の家族が愛おしく可愛がってしまう気持ちも、判らなくはない


「実は私にも弟がいまして」

「本当?そんなの聞いたことが……嗚呼 知るわけがないか」


察しが良くて助かる。
意味深に笑んだままの私は紅茶の匂いを感じながら少しだけ口の中に含む。舌に異常があれば何かあるが、無い場合もあるので少量飲んで様子見しか今は出来ない


「何も入れてないよ」

「……へぇ」


目を細めて食い入る様に見つめる。困った様な笑みを崩さない彼に、疑うのは諦めて飲んだ
多少の薬ならば効かないしそう警戒する必要も無いと一応思っておく


「それで?弟って?」

「……余り深くは云えませんが、私の知る限り誰よりも優しく穏やかな子です」


窓枠の外を見る。静かな青い空。
まるですぐ下では血生臭い事も何も無く、只管に綺麗な世界だと云っている様な空

自嘲的な笑みは決して浮かべず、少し奥歯を噛んで押し殺した後、話の続きをしたそうなジョンさんの方を向く


「僕もね、弟が一人。
それから妹が二人いて、一人は妊娠してるんだ」

「へぇ!目出度い話ですね
そりゃあ金も必要だ」

「うん。特に下の方の妹が可愛くてね
僕の分のパイを取ってっちゃうどころか少し我儘でね

けれどそこがまた可愛くて」

「溺愛してますねぇ」


幸せそうに語る彼の目は金の話をしていた当初よりもずっと楽しそうで、光り輝いていた

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柚羽(プロフ) - 和寂さんの書き方に惚れました!更新、応援してます! (2018年4月9日 22時) (レス) id: cf2592aa4a (このIDを非表示/違反報告)
庵脊(プロフ) - 夢主チャンに惚れました!!更新頑張ってください!勝手ながらも応援させていただきます!!! (2018年4月7日 5時) (レス) id: 4f85448558 (このIDを非表示/違反報告)
博多の塩 - 夢主ちゃんかっこ可愛い!色んな組織に狙われる...なんて美味しい展開←更新遅くても良いので頑張って下さい。 (2018年4月7日 0時) (レス) id: e9e8ce5522 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 主人公ちゃんかっこいいです♪素敵な作品ありがとうございます。 (2018年4月6日 21時) (レス) id: e557b2d593 (このIDを非表示/違反報告)
ほほふー - なんですか、この神作品(白目) (2018年4月6日 16時) (レス) id: b3e457f7f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:和寂 | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2018年4月5日 5時

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