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第四十二話 ページ43



けれど、伝える相手がいなかった
愛したいとする思考すら無かったのです





「貴方、こんな所に居ても善いんですか?
組合でしょう」

「知らない!僕が居なくても今はどうにでもなる
何より未だこのトウェイン様の出る幕じゃない!」

「う、うぅん」


何だその理論は。自信たっぷりな顔が微妙にウザい
気の所為か顔の周りにキラキラとしたものが見える
彼の異能であるトムがケラケラ笑っているが

そしてまた不意に此方を見据える
何かあるのかと裏を疑う私を小莫迦にするかのように、純粋な目で私を。
無い罪悪感が揺れる


「あの日あの時、君は颯爽と現れた!
日を反射する綺麗な黒髪を揺らし、女神が如く美しい笑みを見せてくれた!

その笑みを見たときから、僕は君の虜なんだ!
好きだよ、どうか僕とお付き合いをーーー」

「いや貴方、記憶改善され過ぎです」


綺麗な黒髪?ナオミさんに云ってくれ。
私の髪は血を吸ってこれ程なく傷んでいる

女神が如く美しい笑み?相手を小莫迦にした笑みの事か?

この人は妄想癖でもあるのかと疑ってしまう
第一、出逢ったのは貴方が私の脳天めがけて銃弾を放ってきたから仕返しで驚かせようとしたまで。

この人都合悪い所、全部忘れてるな?
プリクラも驚く程に彼の目には補正という補正があるらしい


「兎に角!お断りしますから」

「如何して!?皆に自慢できるよ!」

「いやしないから」


する相手もいない、とか云ったら変な勘違いされそうなので黙っておく。犬の様にショボーンと屁古(へこ)垂れる彼に、溜息が出た


「ーーー!ほら、早く戻っては?
そろそろお仲間さんがやられますよ」


ぐぅ、と声を漏らした
現実でそんな声出す人いるんだ、と謎の関心をする私に背を向け彼はいつの間にやら放置していたパラシュートを回収し、屋上唯一である出入り口の扉を開ける


「見ててね、僕の活躍!
あ、後で迎えに来るよ!ここら辺は時期に危険になる」

「ご遠慮します、自分で逃げられるので」


賢くて聡明な君も好きだよ。そう云いながら、彼は姿を消した。
はぁ……と二度目の溜息を吐いた私は前髪を掻き上げ、空を見上げて真っ白なクジラの姿を探した




けれどある日、子は漸く見つけたのだ。
唯一無二の存在を

子どもは不器用乍らに溢れんばかりの愛を与えた。存在自体が尊いと云わんばかりに

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柚羽(プロフ) - 和寂さんの書き方に惚れました!更新、応援してます! (2018年4月9日 22時) (レス) id: cf2592aa4a (このIDを非表示/違反報告)
庵脊(プロフ) - 夢主チャンに惚れました!!更新頑張ってください!勝手ながらも応援させていただきます!!! (2018年4月7日 5時) (レス) id: 4f85448558 (このIDを非表示/違反報告)
博多の塩 - 夢主ちゃんかっこ可愛い!色んな組織に狙われる...なんて美味しい展開←更新遅くても良いので頑張って下さい。 (2018年4月7日 0時) (レス) id: e9e8ce5522 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 主人公ちゃんかっこいいです♪素敵な作品ありがとうございます。 (2018年4月6日 21時) (レス) id: e557b2d593 (このIDを非表示/違反報告)
ほほふー - なんですか、この神作品(白目) (2018年4月6日 16時) (レス) id: b3e457f7f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:和寂 | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2018年4月5日 5時

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