探偵社の窓から突っ込んだら色々疑われてます

第三十八話 (セリフをひとつ、追加しました) ページ39

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「あれは兎以上の大きさの動物では成功した事例がない筈だが？」

「えぇ、ありません。
運善く産まれても皆、先天的に何かが欠落し親と同種族とは思えない姿だ

だから云ってる。成し得られなかった禁忌とも云える事を、彼らはやろうとしてる
……否、実行した」


所謂、身内恋愛(イノセント・タブー)

両者同個体の親から生まれた子は勿論の如く血の繋がりがある。詰まり分量は違えど同じ遺伝子なのだ

そんな二人が子を成したとて、病弱な子しか産まれず、外国の昔の貴族が身内のみで繁栄させようとしたが失敗し没落した記録もある


「私が云えるのは此処まで
……充分な程に情報は渡したと思いますが？」

「善いところで止めるね。いやらしい子だ」

「……変な云い方しないで欲しいんですが」


冗談だよ、とクスクス笑い乍ら云う森さん。反して私は嫌悪やらで顔を歪めている。
けれど次の瞬間には笑い声は消え去り圧し潰す程の殺気が向けられる。


「けれどね、矢張り君は欲しいよ

ポートマフィアを利用しようとした、その度胸も含めてね」


手術刃(メス)で頸を斬られる錯覚が見え、咄嗟に触れそうになった手を押しとどめた
相手を優位に立たせては駄目だ。本当に相手が優位であっても、それを見せるな

怯えたフリによる隙は、赦されない


「……ふふ、それが君かい？」


前傾姿勢となり、眼球が抜け落ちそうな程に目を開けて、ダラリと落ちた腕の隙間からナイフの刀身が覗く


「恐ろしい殺気だ。まるで子どもには見えない


ーーー惜しいね、こんなにも才溢れた者が……」



美しい原石に被った土埃を払い、哀れむような森
足元にいたエリスの雰囲気が変わった

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