第三十五話 ページ36
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「ねえ、温順しく捕まってくれない?
君だって無駄に体力を消費したり傷を負いたくないだろ?」
君は少し自覚をすべきだ、と言葉を続けるジョンさん。飽きたような善い加減にしてくれと云いたそうな様子に顔を顰めた
「自覚?」
「君のいた組織の情報の貴重さだよ
その手の界隈の輩に持ちかければ膨大な金が入る。
それこそ君の脳味噌を抉り出して売り捌けば異能特務課すら安い」
「……で?」
「で?って……まだ判らない?今直ぐ君を殺して脳を持ち去ることもできるんだよ
世の中は広い。あの組織の構成員の脳味噌だと保証し売ることも出来る」
彼の、肉親への愛は感服するものがある。谷崎君と似たり寄ったりだと思った。好かないボスにもついて行って家族の為に、そう奮闘する彼は高潔にすら思える
だからこそ、金について語るのが嫌なら黙れば善いのにと思う。
「……辛そうですね、黙ったら如何ですか?」
「ッ!」
「私は貴方が何故その立場にいるのか、齧った程度には把握しています
それと同じです。私も家族を思うが故に口を割りませんしついていきません」
「……家族?」
ピクリと反応を示すジョンさんに笑みを浮かべる
何かに気を取られているジョンさん。人型に戻っていたラヴクラフトは不思議そうにジョンさんを覗き込んでいる
地面に突き刺さっていたナイフを抜き取り矢に変えて天へと放つ
「異能力『闇中問答』ーーー天使の後光」
黄色く目に痛い光が降り注ぐ
ハンチング帽を被っていたジョンさんは目に痛そうに手で影を作りラヴクラフトはぼんやりと光源を見ていた
「又お逢いしましょう」
「うわっ!」
狙撃場所にまで移動し囁けば、彼ーーーマークさんは大層驚いたのか銃をガシャンガシャン!と軽く手のひらで踊らせていた
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柚羽(プロフ) - 和寂さんの書き方に惚れました!更新、応援してます! (2018年4月9日 22時) (レス) id: cf2592aa4a (このIDを非表示/違反報告)
庵脊(プロフ) - 夢主チャンに惚れました!!更新頑張ってください!勝手ながらも応援させていただきます!!! (2018年4月7日 5時) (レス) id: 4f85448558 (このIDを非表示/違反報告)
博多の塩 - 夢主ちゃんかっこ可愛い!色んな組織に狙われる...なんて美味しい展開←更新遅くても良いので頑張って下さい。 (2018年4月7日 0時) (レス) id: e9e8ce5522 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 主人公ちゃんかっこいいです♪素敵な作品ありがとうございます。 (2018年4月6日 21時) (レス) id: e557b2d593 (このIDを非表示/違反報告)
ほほふー - なんですか、この神作品(白目) (2018年4月6日 16時) (レス) id: b3e457f7f6 (このIDを非表示/違反報告)
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