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第二十二話 ページ23



みるみる造りが変わる敦の姿。異形の者は、今日も今日とて"自ら"に震え、"自ら"の野獣から逃げ惑っていた。
誰が聞いても笑うだろう、こんな喜劇みたいな話

闇に身を潜め、闇の中で小鳥よりも小さな呼吸し、同化する黒猫のように目を光らせ、敵から目を離さない

虎は視線に気づく事なく飢えた獣のように太宰さんを襲う。たった一振りで木箱が崩壊する爪の威力
少し感心したような太宰さんの声と表情

主に爪に視線をやり、紙一重でするりするりと例えるなら舞い落ちる花弁。けれどその動作はまるで煽るようで、少し呆れた
遊んでいるな、彼は。

瞬く間に、わざとだろうが壁に追いやられる太宰さん
完璧に気配を消していた筈なのに、彼が此方を向いてニコリと笑みを浮かべ、ギョッと驚き闇が躰から離れた気がした


「見ているなら、助けてくれないかい?」

「自分で切り抜けられるのに?」

「ケチケチしないでくれ給え。私に見せてくれてもいいだろう?」


やっぱりバレている。まぁ、異能の保持者だということは誰にでも判る事かと気を持ち直す
木箱に腰掛けていた為、立ち上がった刹那


「っーーー………太宰さん、退いていて下さいね」

「あぁ」


ユラリと立ち上がり、腕時計を晒す
パチリと釦を押して展開。電線を飛ばし少し操って今にも襲い掛からんとする虎の頸に3周ほど巻き付けた


「が、ぅ!」

「おや」

「っ、く!!」


矢張り虎。力が強過ぎて、腰を落として踏ん張ると下の木箱がミシミシと音を立て、そして砕け散った

バランスを崩し、落下した私はクルリと回転し着地。だがその間に緩んだ電線の輪から白虎が抜け出した
地を這うような低い唸り声。瞬時に至近距離に迫った虎の牙
獲物を見つけ、逃がさないと云った目だ。


「……虎と云えど」


目玉は痛い。

流石にナイフはアウトなので、グッと身を引こうとした虎の目に、指をぶっ刺した
所謂、目潰しだ

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柚羽(プロフ) - 和寂さんの書き方に惚れました!更新、応援してます! (2018年4月9日 22時) (レス) id: cf2592aa4a (このIDを非表示/違反報告)
庵脊(プロフ) - 夢主チャンに惚れました!!更新頑張ってください!勝手ながらも応援させていただきます!!! (2018年4月7日 5時) (レス) id: 4f85448558 (このIDを非表示/違反報告)
博多の塩 - 夢主ちゃんかっこ可愛い!色んな組織に狙われる...なんて美味しい展開←更新遅くても良いので頑張って下さい。 (2018年4月7日 0時) (レス) id: e9e8ce5522 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 主人公ちゃんかっこいいです♪素敵な作品ありがとうございます。 (2018年4月6日 21時) (レス) id: e557b2d593 (このIDを非表示/違反報告)
ほほふー - なんですか、この神作品(白目) (2018年4月6日 16時) (レス) id: b3e457f7f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:和寂 | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2018年4月5日 5時

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