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第二十話 ページ21



現在位置は例の茶屋
然し余り友人と思われたくないAは一つ隣の空いた席に座る。目の前には空席の椅子。二人用の机らしかった

荒れ狂ったように茶漬けを食う敦にニコニコと此方(・・)を見る太宰に、苛立つ国木田

突き刺さる何処か冷たい視線に溜息すら出すのが億劫になる。国木田も時折此方を見るが、太宰が見ている事に自分は善いと思ったのか敦を見て、到底理解出来ない敦の言葉を完璧に理解し返事をしていた


「時に少年、彼女とは知り合いかい?」

「?いえ、先程飢えて歩いていた僕をあの川で食料が取れると教えてくれたんです」

「へぇ……」


食べ終えた敦が腹を摩りながら応えた

嗚呼 また視線が冷たくなった。
ご察しの通り、あの川に魚なんていない。いても小さ過ぎるし食べない方が善い。何せ乱歩さん活躍回では大量のゴミが回収されているのが善い例で、浮かんでいるのはゴミか太宰さんのみだ

けれどツン、と顔を逸らして頬杖をつく
こんな場面、見られれば即アウトだ。どう抜け出すかな……


「いや、ほんっとーに助かりました

孤児院を追い出され、横浜に出てきてから食べるものも寝るところもなく……あわや斃死かと」


展開されていく身の上話。正直、そう云った類の話は聞き飽きている。正に耳にタコが出来そうだ
敦に疑いならぬ思惑や餌を撒く太宰さんの目は此方に向いていない。目だけで判断するのは甘い話だが


「さようなら」

「逃がすわけがないだろう?」

「知りません、私は私です」


嗚呼 もう


「君も来給え。拒否権はないよ」


掴まれた手首に力が込められ、ミシリと骨が悲鳴を上げた。歪めた顔に敦は困惑し、国木田さんも警戒している
溜息を禁じ得なかった

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柚羽(プロフ) - 和寂さんの書き方に惚れました!更新、応援してます! (2018年4月9日 22時) (レス) id: cf2592aa4a (このIDを非表示/違反報告)
庵脊(プロフ) - 夢主チャンに惚れました!!更新頑張ってください!勝手ながらも応援させていただきます!!! (2018年4月7日 5時) (レス) id: 4f85448558 (このIDを非表示/違反報告)
博多の塩 - 夢主ちゃんかっこ可愛い!色んな組織に狙われる...なんて美味しい展開←更新遅くても良いので頑張って下さい。 (2018年4月7日 0時) (レス) id: e9e8ce5522 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 主人公ちゃんかっこいいです♪素敵な作品ありがとうございます。 (2018年4月6日 21時) (レス) id: e557b2d593 (このIDを非表示/違反報告)
ほほふー - なんですか、この神作品(白目) (2018年4月6日 16時) (レス) id: b3e457f7f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:和寂 | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2018年4月5日 5時

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