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第十八話 月の下の白虎 ページ19



如何して彼が此処に。


襤褸(ボロ)雑巾の様にくたびれて汚れた服に身を纏い、特徴的に右斜め下へとバッサリと切られた前髪。

ーーーー主人公である中島 敦だ。

彼は河川敷で餓死寸前だと云って第一話が始まるはず
如何して、此処に。困惑が隠せないAは路地裏と表の世界の境目の様な場所に立っていた。ヨコハマの街を好奇の目に晒されながら歩いている彼の姿を、目を見開いたまま食い入る様に見ていた

今目の前の彼が幻覚である事をどれだけ願ったか


「ねぇ」

「うわぁっ!……え?」


どうやら本当に餓死寸前らしく、普通に話しかけた筈の私の声に驚き私まで注目を浴びるザマ。
振り返った彼は困惑の表情。取り敢えず話す前にこの目が鬱陶しい。そう思い彼の腕を引っ張って歩いていく

人の波に逆らい、掻き分け、漸く着いたのは原作で太宰が川上から流れてくるあの河川敷


「君、お腹空いてるでしょ」

「な、なんで判るんですか!?」

「そんな顔してるよ」


ククッ、と笑うと羞恥からか真っ赤になって、タイミング善くなった腹も忌々しそうに抑えて睨んでいる


「お金は無いけど彼処の川で食料が取れる
やってみれば?」

「えっ……ほ、本当ですか!?」

「本当だよ
食料探し、頑張れ」


取れるのは魚だと思っている様だけど、川から取れるのは茶漬けだと彼は露程も思っていないだろうけれど

彼の手首から手を離し、ふと川上に目を移した



「あ」

「え?」

「ごめん!!」


二つの人影。その内一つと、目が合った
その刹那、私は地面を抉るほどに強く地を蹴って駆け出した


「国木田君!」

「判っている!!」


川の向こう側の、彼らから逃げる為に。

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柚羽(プロフ) - 和寂さんの書き方に惚れました!更新、応援してます! (2018年4月9日 22時) (レス) id: cf2592aa4a (このIDを非表示/違反報告)
庵脊(プロフ) - 夢主チャンに惚れました!!更新頑張ってください!勝手ながらも応援させていただきます!!! (2018年4月7日 5時) (レス) id: 4f85448558 (このIDを非表示/違反報告)
博多の塩 - 夢主ちゃんかっこ可愛い!色んな組織に狙われる...なんて美味しい展開←更新遅くても良いので頑張って下さい。 (2018年4月7日 0時) (レス) id: e9e8ce5522 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 主人公ちゃんかっこいいです♪素敵な作品ありがとうございます。 (2018年4月6日 21時) (レス) id: e557b2d593 (このIDを非表示/違反報告)
ほほふー - なんですか、この神作品(白目) (2018年4月6日 16時) (レス) id: b3e457f7f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:和寂 | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2018年4月5日 5時

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