探偵社の窓から突っ込んだら色々疑われてます

第十七話 ページ18

，


「っぐ！」

「ぁ……！」

「ッ……こンの餓鬼……！！」


放った矢は夜叉を殺し、微かに螺旋を描いた矢の軌道に黒獣は掻き消され瓦礫の刃を粉砕し、檸檬は爆発する前に壁に押し付けられ機能性を喪った

全てを殺した矢の威力。
忌々しそうに中原が舌打ちを打ち、再度瓦礫に触れて発しようとした時、彼女が動き陽の光が中原の目を刺す。闇に慣れた瞳には辛く、反射的にその手で視界と共に日を遮った


「消えた……！？」


樋口が驚いたように云った。上を向いた皆の目に、彼女の姿は映らなかったーーー。




「はぁ、はぁ……しんどい
流石に、あれは、リンチ」

紅葉が云った事も強ち間違いではない。けれど彼女は年端もいかぬ子ども。まだまだ未成熟な躰
力に置いても体力に置いても。負けぬ自信があるのは己の脚によるスピードのみ

故に、彼女はずっと逃げてきたのだ。
やるときはやる。が、ポートマフィア関係の者相手だと彼女は一切殺さなかった
原作にどんな影響をもたらすか、底が知れなかった


「ナイフ……足さないと」


何本がおじゃんになったか判らない。腕のホルスターは左腕の部分が全て消費され右腕のホルスターには残り３本。

下手に足を付けるわけにもいかず、そんじょそこらで買うわけには行かない
"彼ら"は闇が目であり全てを見ている。本人しか知らぬようなことまで、知っているのだ

ナイフ、一本手に入れるのも一苦労なのに……

少女は一人、廃墟の屋上で緩やかな風に髪を揺らしながら項垂れていた

第十八話 月の下の白虎→←第十六話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す