探偵社の窓から突っ込んだら色々疑われてます

第十六話 ページ17

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「っ！」

「！チッ」


もう一発、と踏みつけられそうだったその体制から飛び出し、壁にナイフを二本突き刺す。
そのままナイフの上に足を乗せ、壁に立ってみせた

然し休む時など与える積もりなど毛頭無く、梶井が二つ、檸檬爆弾を放り投げた。ゴーグルの奥に見える瞳はドス黒く、けれど唇は遊ぶ子どものように弧を描いている

爆発した檸檬。吹き飛んだのはナイフの直ぐ近くで、まともに当たれば消し飛ぶ
路地裏に梶井の笑いが響いたが、反響している声を除いて梶井の笑いが止まる

飛び散ったナイフ。けれどそこに臓物などない
皮膚の破片すら無く、彼女は唯一路地裏に差す光を遮り真上を飛んでいる

クルリと身を反転させ、頭をこちらに向け、何か鋭い刃が彼らに向いていた


「！？『金色夜叉』！」


直感的にダメだと感じた紅葉が夜叉を発動。芥川が羅生門、そして夜叉白雪を。樋口が銃口を向けて弾丸を放ち梶井が檸檬を三つ。中原が異様力『汚れちまつた悲しみに』を発動し瓦礫に触れて弾丸とする

彼女はただ、絶対的な自信と共に穏やかなる気持ちで呟いた


「異能力ーーーー『闇中問答(あんちゅうもんどう)』」


刃は矢となり、弦から５本の弓が飛び出した
夜叉白雪と金色夜叉が刀を抜き切る前に、中原の弾丸が彼女に届く前に、芥川の黒獣が空間を食い破る前に、梶井の檸檬が爆発する前に、樋口の弾丸が飛び出る瞬間すらも上回ってーーー


彼女の異能による矢が光の速さすら超えたと思わせるスピードで、空気を斬り全てを貫いた


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