探偵社の窓から突っ込んだら色々疑われてます

第十五話 ページ16

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「っは……」

「ほぉ……噂の通りじゃ
目を疑う程のスピードに底知れぬ体力。そしてそれに見合う力

まるで強くなりたいと思い描いた人間の願いを集約させた様な……」


頭を下に向けて蛙の様な体制で、体重を支える為に腕は頭より前へと出し、五人を視界から一切離さず見つめていた
焦りはしたものの、矢張り冷静が一番だと切に思う


「名乗れ、小娘。
貴様は何者だ」

「……名乗れば、帰してくれる？」

「名乗れ」


拒否権はないと黙す芥川。指に力を込めてしまい、壁がメキャリと音を立てた
吐いた息と共に漲(みなぎ)る思いは反抗心。
人は何かしろと云われると、反抗したくなる気持ちが多少は湧くものだ。目を見開いて、食い入るほどに見つめた

一挙一動。見逃すものかと


「……名乗る気は無さそうじゃ」

「……斬る？」

「落ち着け鏡花やーーー何、直ぐに撃ち落とされる


のぅ、中也」


ガァアン！！！


静寂の路地裏に響き渡った破壊音は、人が地面に撃ち落とされて出来た音だと誰が思ったか。
ガハッ、と息を吐く少女にしてやったと笑う彼は、正しく五代幹部の一角そのものだった


「よう、顎の一発は痛かったぜ。餓鬼」

「っは、ぁ……おひ、さしぶりで、す」

「意識を保つか。力云々は関係なく、躰は柔いと思ったが……」


帽子を深くかぶり直したものの、真下にいる私にはその顔は丸見え

嗚呼 マフィアの顔だ

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