脅威さんといっしょ！(不本意)【zm】

ゾムさんは危ない ページ5

「……警察、呼び─────」


呼びますよ、とスマホに手を伸ばした途端。
その手首を掴んでベッドに倒すあの人。覆い被さる様に、天井を見渡せていた視界を一気に遮る。




前髪が垂れている。あぁ、やっぱりあの人だ。パーカーの色なんて分からない。けれど、限定的に見える口元は、やけに見覚えがある。



何より、声だ。

あの時感じた危うさが膨張しているではないか。



「約束はちゃんと守ってもらわな、俺も困る」
「約束って……」

「今日言ったやん。これ以上付き纏うなら、警察に言うって。

だから、これからは面と向かって会わなあかんと思って来たんやで」





今日。
私がそれを告げたのは。


覚えている。
しかし、どうしてこの人なのだろう。
合点が行かないのに、納得をした。この異常に常識が通じない男に。


状況に理解をして、私は言葉を紡ぐ。



「つまり、ストーカー……さん？」


怯えながらもそう聞くと、手首を掴んでいた手を緩めながら笑う。
やけに艶かしい口元はホラー映画よりもよほど、ゾッとする微笑みだ。怖い……のに、震えている訳では無い。現実味のなさに、やはりまだ頭は理解が追いついていないのか。



「俺の事はゾムって呼んで」
「…………えっ」

「俺もあんたのこと、Aって呼ぶから」

「な、名前なんで知ってるんですか……」


「だって、ストーカーだし。
そら当然やろ。あんた、ストーカー嘗めたらアカンで」


いや嘗めるどころかドン引きなんですけど。

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