ゾムさんでいっぱい ページ40
『……まぁ、ゾム先生に比べれば
俺のちょっかいなんて可愛いもんでしょ』
「何が、ですか」
『ここまでして、まだ気付かへんのか』
グルッペンさんは呆れたように言い放つ。
ゾムさんのちょっかいって、何。ストーキングの事か?そりゃ、それに比べれば嘘情報流す事なんてどうって事ない。
『もう、すっかりゾムの掌の上だな』
迷惑だって思ったのは、この一週間ゾムさんに会えずに居たから?それじゃまるで、私がゾムさんに会いたくて仕方ない人みたいじゃないか。
何かがおかしい。
いつからだ。
私がこんなに肯定的になったのは……恐ろしくも信じ難い予想が一つ浮かんだ。
グルッペンさんの言葉を鵜呑みにして、ストーキング辞めるような人が、どうして今までしつこく付き纏っていたのか。
嘘みたいな、でも異常なほど奇怪なこの人なら有り得ない話ではない。
「ゾムさんは、この一週間……なんで私と一切関わらなかったんですか」
先程の返答は要さない。今は、ただ返答の『続き』が聞きたいだけ。グルッペンさんが言ったのを聞いたその後は?
「押してダメなら引いてみろ、って分かるやろ」
笑ってゾムさんは答えた。
知っていた、この人は何もかも知った上で私の感情を引きずり出す為に芝居を打ったんだ。それだけじゃない。今までの散々な行動も、全てが積み重ねだった。
波が寄せて返す様に、押した反動が私を散々掻き乱した。結果、してやられた最低の気分だ。
「最初っから、あんたのこと落とす事しか考えてなかったんやから」
「……で、今回は何かいいものがあったんですか」
目の前の詐欺師のような不法侵入者にぶっきらぼうに聞く。
「Aの頭ん中、俺でいっぱいにしたやろ?」
悪戯っぽく笑うゾムさんは満足そうにそう言った。
踏み荒らされた私の領地はとっくに、黄緑一色。名前に似つかず、テリトリーを染め上げられたのは私の方だった。
「寂しい思いさせて、すまんな。でも任せとけ。
これからはより一層しつこく付き纏うで!!」
「ちっ……調子に乗らないでください!!!
もう全然寂しくないですから!!」
そういえば、どうしてここまでして私に付き纏うのか、理由をまだ会って間もない頃に聞いた。
そこで貴方は「頑張って考えて」と答えた。
___理屈じゃない癖に。
今日、やっとその答えが出た気がした。
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暁郗 - 待ってぇ…、めっちゃ絵上手くないですか…?夢主ちゃん可愛過ぎるやろ。髪少しボサってしてるのとか前髪長いのとかほんと好きです。これからもめっちゃ応援します。 (2020年10月4日 10時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
木材(もくざい)(プロフ) - ごめんなさい!!!!好きすぎて泣きました笑これからも我々だ作品期待してます頑張ってください! (2018年12月1日 14時) (レス) id: cfd7089d94 (このIDを非表示/違反報告)
狸豆 - めっちゃ絵上手いじゃないすかぁー()羨ましいですわうふふ() (2018年11月2日 23時) (レス) id: ffc9be237d (このIDを非表示/違反報告)
鮭 - かきのたね様の作品、楽しく拝見させて頂いております。続編も楽しみです^-^ (2018年11月1日 21時) (レス) id: 93041e31ed (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - 夢主ちゃんが外を歩いてて、すれ違う人達が自分を見ては慌てて目を逸らして足早に去っていくから可笑しいと思って後ろ見て見たら実はzmさんが着いてきてた、みたいなのとか…ハロウィンzmさんとか…お願い出来ませんか…出来ればでいいので…! (2018年11月1日 18時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かきのたね | 作成日時:2018年10月21日 9時