脅威さんといっしょ！(不本意)【zm】

ゾムさんを怒らせた ページ37

「えっ！？い、いや何もされてないですって！」


き、急にどうした。
突然やさぐれモードに入ったのか？なんで？グルッペンさんのこと嫌いなの？ご友人じゃないの？
ゾムさん、例え話だからお願い話を聞いて。

しかし私の願い届かず、気がつくと鼻で笑いながら自虐的に言葉を紡ぐ。


「そら、グルッペンの方がいい声しとって積極的やもんなぁ。
……そかそか。
アンタ、あういうのがタイプなんやな」


最後に少しだけ寂しそうな声で「仕方ない、か」と残してゾムさんは玄関先へと歩き出す。私は思わず振り向いて、呼び止める。


ゾムさん、ちょっと何か勘違いしてません！？と呼び止めたのに玄関の扉を開こうとする。えっ、いつも絶対二時間は滞在していい迷惑だったのに、今日はたったの10分？！短すぎるでしょう。


「あ、あのゾムさん……？何か怒ってます？」
「怒ってへん……今日はもう帰る」
「えっ……えぇ……？」


バタンと虚しく響く扉の前で立ち尽くす。
ちょっ……嘘。なんで、私ちょっと寂しがってんの。先程まで賑やかだった部屋にこだまする声は私のものだけ。

「ちょ、本当になんなん……！？」


ゾムさん、そんなにグルッペンさんのこと言われるの嫌だったのかな。……あんなの、ちょっとしたジョークなのに。なんだ。ストーカーには冗談も通じないのか。こっちがフラれたみたいな感じになってちょっと嫌な気分になってしまう。

なんだ、よく良く考えれば私悪くなくない？



「(逆に、静かな方が作業に集中できるし)」


そもそも、求めていた安寧ってこれじゃないか。何を今更、寂しがっている。喜ぶべき宝はこれだ。


寂しくなんか、ない。
だってゾムさんは
勝手に入ってくる迷惑な人だもの……。



……。



「だぁぁ！！もう、いい！！
考えるのやめにしよ！！
居酒屋行って、酒たらふく飲んでやる……！！」


面倒なことは呑んで忘れてやる。

ゾムさん……いない→←ゾムさんは不平等

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