脅威さんといっしょ！(不本意)【zm】

ゾムさんは不平等 ページ36

ゾムさんは不意に私の原稿のあらすじを読み始める。そういえば、初めて会った時……結構あの一言で元気もらえたんだけどなぁ。


────自信もって、って言ってくれた。
嬉しくて堪らなかったんだけどなぁ。


ストーカーだったなんて。
しかも中々の。


「勝手に見守ってんのに、ストーキングしてる内に妄想でカノカレになってしもた……
そんで、話が噛み合わなくて、
裏切られたと思ってサクッ……って、ほー。

こういうストーカーってよう分からんわ」


あんたが言うか。


「いや、ストーカーにストーカー否定されても説得力ないんですけど」
「俺は別にAと恋人になってるつもりは一切ないで？別に、この先俺も片想いだけでも構へん」


潔い返答に「そ、そうなんですか？」とつい聞き返してしまう。そんなの余りにもフェアじゃないのに。どうして自分にマイナスしかない筈なのに……結構前にストーカーの貴方に心を開くことなんてありえないなんて言ったのに、どうして。


この人の原動力ってなんなんだろう。
この前のグルッペンさんの時もそうだけど、どうしてそこまでして私を。

人を追いかけてまで好きになる気持ち、よく分からない。失礼なことかもしれないけれど、ゾムさんの深い感情の根源は視認できない程だから。



「そ、それはグルッペンさんに私がなびいたら……同じこと言えるんですか」


そう聞くとゾムさんの顔が一気に不貞腐れる。不機嫌そうな面持ちは、多少嫌な予感を思わせた。するとゾムさんは顔に似合った機嫌の悪そうな声で言う。


「なんで、そこでグルッペンが出んの」
「いや、ものの例えなんですけど……」

しかしそう言うも、ゾムさんは私の言葉も聞かずに言葉を遮った。



「……ふーん。
やっぱりあの時、他になんかされたんか」

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