起きたら好きな奴が隣で寝てた。【坂田銀時】

いつかの話をしてみては ページ13

「名前、って坂田のことを？」
「そりゃーいつかは嫁入りして、俺と同じ坂田になるだろ」

「なんで結婚確定してんの、まだ惚れてないんですけど」


大体、私のことはそんなに簡単に名前で呼べるのか、とAが若干照れながら聞いてくる。

時折そう呼ぶが、比較的苗字呼びが多かったのは事実だ。あと代名詞的な「おめー」など。
当然、実際はこうして名前で呼ぶことを望んでいた。


「…ずっとそう呼びたかった、って言ったらどうすんの？」



頬杖をついて目を細めて笑ってやると、また頬を赤くして「よ、呼べばいいだろ…勝手にしろ」と言う。

本当に、期待させて訳が分からねぇな。

惚れる見込みのない男にまでそんな反応するやり手なんだったら、俺はお前を一生落とせやしねぇ。心の中の思いすら手玉に取られて、どうにかなりそうだ。



「A」
「近くで呼ぶんじゃねぇっ…！」
「あれ、てっきり昨日もこんな風にしてたと思ったんだけどな？
…それとも昨日名前呼ばれてされた事でも思い出したか？」


与えられた拳で後ろに倒れる。


ふとその時考えた。

俺は、何故理性に負けたのだろうか。それなりに俺としては、聖人レベルで耐えてきたはずだ。覗きだってできるならしちまいたくなるような下心を持つ俺が、手を出さねぇって今まで我慢してきた。
だがそんな、今まで耐えてきたものを崩された。


そんな兵器をこいつから受けたのだろうか。
だとしたら、覚えていないのが本当に憎らしい。

にしても、なんでこうなっちまったかね。
俺は何かしたか？

いや、何もしちゃいない。


何もしていないはずだ。

思い出させる言葉の信憑性→←順応性の高さに気をつけよ

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