緋く気高く儚いキミ (ページ9)

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7話ページ9

ｸﾗﾋﾟｶside

「んん…」

おやすみと挨拶を交して1、2時間が経つ頃
飛行船は雲の中を飛んでいるようだ

ふと目を覚ました私は、隣でぐっすり寝ていたAがいないことに気がついた

あいつは一体どこに行ったのだろうか、まぁまた戻ってくるだろう。

「水でも飲みに行こうか…」

私は身体を起こし、いびきをかいて寝るレオリオを横目に部屋を出た

部屋の外に出た時、ちょうど部屋に戻ろうとしたであろう銀髪の少年と鉢合わせた

「あ、クラピカ…だっけ」

「あぁ、合っているよ。それにしても、キルアはこんな夜中に何をしていたんだ？ゴンとは一緒じゃないのか？」

「あいつなら会長のじいさんとボール遊びしてるぜ、俺は飽きたから先帰ってきたの」

「そうか、じゃあおやすみ」

「お、おう。おやすみ」

キルアと別れて飛行船内の食堂にやってくると、明かりがついていない中誰かが窓際の席に座っているのが見えた。

先程まで、私達と共に行動していたAだ。
だが、いつもの雰囲気とどこか違っている、何が違うのだろうか。

普段の笑顔を絶やさない様子とは正反対なほど静かで落ち着いている。

「はぁぁぁ、クラピカを見てるとなんであんなに懐かしい気持ちになるんだろうなぁ～」

ふと彼女が大きな独り言を発する。
懐かしい？私がか？

Aのような知り合いはいただろうか……
いや、私が今まで会った人の中にAのようなやつはいない……

「やっぱり…しの…記憶が…から……な」

誰もいない空間だったが、少し離れたところで聞いていたことに加えて彼女の声が小さくなったため部分的にしか聞き取れなかった

記憶がなんだ？
私にその記憶とやらが関係している…のか？
誰の記憶が……

頭の中で情報を整理していた時だ

窓の外から月明かりが、差し込み彼女の顔をぼんやりと照らす

その時、涙をうっすら浮かべていた彼女の横顔が不覚にも美しいと思ってしまった。

ゴンやキルアと同じ12歳とは思えないほどに

「さぁ～て、とっとと寝ますか！ってク、クククラピカ！？」

「あっ、いやこれはその……」

しまった、本来は水を取りに来ただけだというのに……

「今の…聞いてた？」

「………あぁ、少しだけ」

おそらく嘘をついてもすぐ気づかれるだろう、私は正直に答えた

「そっかぁ……恥ずかしいなぁ～、ってことでこの事は私達の秘密に、ね？」

ふんわりとした笑顔でそう告げた彼女はいつもの軽い足取りで食堂から去っていった