【コンパス】【イグニス】その名の通り炎に焦がれたと言うしかない (ページ18)

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叶えようとしたら瞬く間に③ ページ18

そこまではよかった。
いや。よくないけど。

良くないって気づいたのはそこまでしてからだった。

キスをした時の感触と、感じた炎の熱は夢にしてはあまりにもうまくできすぎていたと気づいた。

｢……！！！！！｣

ドレス姿のままの自分に、目の前にいる何も言わず固まったイグニス。

時すでに遅すぎると言わんばかりに、穴があったら入りたい。

勢い余って告白をしてしまったらしい。

｢ご、ごめん…！！！！｣

これは耐えれない、と私は自室から走って廊下に逃げた。

｢お、おい！A！｣

イグニスの声が背後で谺すけど、そんなこと気にしていられなかった。
やってしまったと、後悔と恥ずかしさで消えてしまいたい。
いつも通り長い廊下を私にしては早いスピードで走り抜ける。

リビングを通り過ぎ、バトルアリーナに続く部屋まで走ってきてしまった。

ここまでくれば、と思った。

でもどうやらそうはいかなかったようで

ーグイ、ー

｢…え、｣

私の手が後ろに引かれた。

…見覚えのある、手錠によって。

｢ちょ、えっ、わぁぁぁ！！！｣

為す術なく、私は後ろに引き戻される。
突然のことに体制なんて立て直せずに、後ろに転びそうになった。

が、転ぶことはなく。

私はそのままイグニスに捕まった。
捕まったと言うより、後ろから抱きしめられたのだが。

｢お前はっ…、そうやって勝手に何かしてはさっさと逃げやがって…｣

そう言ったイグニスは少し怒っていただろうか。