短編集 クイズ研修旅行

フリータイム:ふくらP ページ8

ふくらさんは仕事熱心だ。


研修旅行中も研修の様子を記事や動画で、参加できなかった人に伝えるため、編集作業をしていた。


その作業を眺めて、優しい人だなぁと実感する。


すると、ふくらさんは私に声をかけた。


「Aさんはこの研修旅行、楽しかった？」


「はい。とっても楽しかったです。でも……」


楽しかった、楽しすぎた。でも私には1つ物足りなかった。


「でも？」


「でも、私はもっとふくらさんと一緒にいたかったです。」


こんな風に思うのはわがままだろうか。


「そっか、じゃあ今から2人で遊びに行っちゃう？
ちょうどフリータイムだし。」


「そんなことしていいんですか？」


「まぁ、僕が企画考案者だし、参加者の人には満足してもらわないと。」


やっぱり、ふくらさんは優しい。


「申し訳ないとか思わないでね。ぼくもAさんといたいだけだし。」


ふくらさんはそんなことを言ってくれたけど、やっばり遊びに行くというのは気が進まない。


だから、ふくらさんに頼んで、編集作業を手伝わせてもらうことにした。






私は編集作業が終わって、そのままふくらさんの部屋で寝てしまった。


朝起きたら、私の体はふくらさんの腕に抱きしめられていて。


「Aさん、満足……した…かな。」


寝ぼけたままのふくらさんが聞いてくる。


私は昨日、一緒に作業してただけで十分だったから、ハイと言う。


「僕はまだ満足してないから、もうちょっとこのままでいさせて。」


ふくらさんはそう言うと、私をさらに強く抱きしめた。


それで、私たち2人は一緒に寝坊した。

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