短編集 クイズ研修旅行

お菓子:山本+こうちゃん+ふくらP ページ31

「なんで！こうちゃん、僕のお菓子食べたじゃんっ！」



「いや、だからって俺の食べなくてもいいじゃん！」



「や、山本さん…こうちゃん…」



山本さんと、こうちゃんはケンカ中です。



「こうちゃんは僕のこと分かってくれてると思ってたのに…」



「分かってるから！なんでそんなに怒ってるのか分かんないけど。」



「分かってないじゃんっ！」



うーん。長引きそうだなぁ。



この後研修授業もあるのに、こんな空気のままじゃあ嫌だよー。



「あれ、どうしたの？」



「あ、福良さーん！助けてくださいぃぃ…」



部屋に戻ってきた福良さんに仲裁役を頼む。



「山本ー！どうしたの、そんなに怒るの珍しいね。」



福良さんは仲裁役を引き受けてくれ、山本さんに話しかけに行った。


「だって、こうちゃんが間違えて僕のお菓子食べちゃったんだもん。」



「差し入れでもらった限定のやつかー。それは同じやつ用意できないなー。」



「でも、山本も俺のお菓子食べたんだよ。」


こうちゃんが反論して福良さんに言う。


福良さん、なんか大変な役を任せちゃってすみません。


「お互い様なんじゃん笑笑。


しょーがないなー。」



福良さんは一度部屋を出た。



「ほら、こうちゃんのせいで福良さんに怒られたよ。」



「俺のせいっ⁈」



ガチャッ。



「はいそこ、ケンカ終わって。」



福良さんが戻ってきた。



彼の両手には紙袋。



それを山本さんとこうちゃんにそれぞれ渡す。



「わ〜あ！」



「え、すごっ！」



中身を見た2人はケンカのことなんか忘れたように笑顔になった。


そして、2人で仲良く部屋を出て行った。



「福良さん、何を渡したんですか。」



2人が笑顔になった理由を知りたくて、聞いた。



「2人とももっとお菓子が食べたかったんだよ。仲良い山本とこうちゃんがあんなにケンカするのなんて珍しいから、お腹空いてるのかなーと思っただけ笑笑」


福良さんはそう答えるとニコニコしながら部屋を出て行った。



さ、さすが福良ママです。

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