短編集 クイズ研修旅行

研修授業:河村拓哉 ページ16

２日目の研修授業。


実行係はくじの結果、私と河村さんになった。


実行係と言っても、クイズのときに読み手をするだけだけど。


その読み手も河村さんの要望によって、問題ごとにじゃんけんで勝った方が読むことになった。


クイズの内容は色々あって、読むのが大変そう。


できれば、河村さんに読んでもらいたいかな。


これは、読むのが嫌ってわけじゃなくて……


河村さんの問題読む時の声、イケボすぎるから。


その声を生で聞いたら、マジでやばいと思う。


でも、私のそんな思いが通用するほど神サマは甘くありませんでした……


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「Aさん、じゃんけん強い。そろそろ僕にも読ませてよ。」


「じゃんけんで決めるって言ったの河村さんですよね⁉」


そう。今のところ私がすべてのじゃんけんに勝って、河村さんはまだ1度も読んでない。


私だって河村さんに読んでもらいたいのにな。


あと2問しかないし、勝ってもらわないと。


「じゃあ、じゃんけん、しますね。」


『じゃんけん、ポン！』


…………！！


、、、、あ。


「またAさんが勝つの⁉」


「あー、河村さん残念。」


ちなみに、問題の方は難しいやつ。


「では、問題。今から読む英語のやりとりを聞いて答えてください。それでは読みます。

M:Excuse me,we'd like to buy some tea as a present.
A:Yes,certainly. ………………」


なんとか読み終わったけど、河村さんの英語聞いてみたかった、、と思った……


「河村さん、次最後ですけど大丈夫ですか？」


「あ、そうじゃん！次こそは勝たんといかん。」


『じゃんけん、ポン！』


あ、、！


「勝った〜！」


ちゃんと河村さんが勝ちました。めっちゃ嬉しそう。


「では、問題。数学者で『クラインの、、…………」


今まで読めなかった分の全部を注ぎ込んで問題を読んでいる。


しかも、答える側も気を使って早押しなのに問題を最後まで聞くという……


それに、河村さんは読む時にちょっとだけ私の方に近づいてくれたという……


こんなに近くで河村さんの生の声が聞けて、私は幸せです。

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