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ゼ「兄上、出迎えは俺が行きます。」
ラジ王子がクラリネスを訪問する当日、ゼンが突然言い出した。あんなに嫌がってたのに…
イ「へぇ、乗り気じゃなかったのに」
ゼ「まあ礼儀かと。初めて会うわけですし。」
イ「興味が?」
ゼ「ありますよ」
『じゃあ、私は出迎え不要だよね?
ゼン、大人になったね…』
ゼ「な!いつまでもガキ扱いするな!
それに俺の方が一つ年上だ!」
一つぐらいで小さい男だ、と口に出したら怒られそうだから黙る。
これで警護に集中できそうだ。
イザナとラジ王子の挨拶が終わった後、中庭へ向かうとミツヒデと木々がいた。
『やっほー!何だかんだ久しぶりだね!』
木「忙しそうにしてたもんね。
隈できてるけどちゃんと休んでる?」
ミ「Aは無理するからかな。
休める時は休めよ?」
『…ありがとう』
ラジ王子の件や諸々の対応で最近は休む暇がなかった。
心配そうな顔のミツヒデに頭を撫でられる。
この二人にはいつも甘えてしまうから怖い。
ハ「ゼン殿下、新参の従者を付けられたそうですな。」
ゼ「ハルカ侯か、兄上がそう言ったのか?」
ゼンとハルカ侯の話が気になり聞き耳を立てる。
ゼ「かなりの身軽で腕も立つ。
面白そうな男だぞ、あれは。」
『ゼン新しい従者つけたの?
私知らない!聞いてないよ!』
ミ「A!とりあえず落ち着け!」
何も聞いてないとむくれていると、ラジ王子と一緒にいたイザナがゼンを呼ぶ。
イ「ゼン!」
ゼ「何か?」
イ「出迎えの際、二人でどんな話をしてたのかとね」
ラ「他愛のない事だったが…」
イ「あの娘の話は?赤髪の−
ラジどの、貴殿が見惚れて気に止めていたと言う娘だ。名を覚えておいでかな。」
ラ「あ、ああ!赤髪の…あの娘か…」
ゼ「名くらい言えるでしょう」
ラ「…白雪どの、だったな」
ミ「…嫌な流れだな。」
『…』
此方としては彼女にタンバルンに帰ってほしいが、ゼン達はクラリネスに居て欲しいのだろう。
ミツヒデも木々も彼女を慕っているのか…厄介だな
ゼ「兄上!」
ゼンの声で我に返る。
ゼ「ラジ殿?」
ラ「…せっかくだがイザナどの、遠慮させてもらう。
私は白雪どのに去られた訳では談じてなく、違う地に生きてみたいと国を出た彼女を快く送り出したのだからな。まさか未練など!」
イザナがここまで言っているのに中々話に乗ってくれない。
それにさっきからゼンをチラチラ気にしている。
イ「何か会えない理由でも?」
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作者名:まゆら | 作成日時:2019年3月17日 18時