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『失礼します。ガラクさんお久しぶりです!』
ガ「あら、Aくんじゃない!戻ってきてたの。」
薬室へ入るとガラクさんが薬草と睨めっこしていた。
周りを見渡すが、彼女以外は不在のようだ。
『先程戻ってきました!』
ガ「お帰りなさい。調子はどう?」
『お陰様で元気です!
白雪どのはいらっしゃいますか?』
ガ「白雪くんはリュウと薬草園にいるわ。」
『え、リュウと!?』
あのリュウが、誰かと行動を共にするとは驚きであった。
ガ「ええ。彼女は彼の下につけたの。」
『まさかリュウに部下ができるとは…』
ガ「相性いいのよね。あの子は出来る子よ。」
『それは、頼もしい新人が入りましたね。
これでガラクさんの負担が減るといいけど…』
ガ「貴方達がずっと健康でいてくれれば、ね。」
返す言葉もなく苦笑いで薬室を出る。
ガラクさんもリュウも彼女を信用しているのだろう。
仕事もできて人間性も問題ないと見受けられるが、それだけでは王子の友人になるには足りない。
『それに、ただの[友人]だけならいいんだけどね…』
薬草園に着くと、少女とリュウが作業していた。
『白雪どの!
殿下がお呼びです。急いでお戻りください。』
白「あ、はい。今…」
『それと着替えを用意していますので』
白「着替え?」
リュウと目が合うが、人差し指を口に当てて自分の事は内緒にしてもらう。
リュウは驚いた顔をしてたが、頷いて従ってくれた。
白「あの…着替えって…?」
花謡いの間へ案内していると白雪どのが話しかけてきた。
ちらっと彼女を見ると、可愛らしい顔が困っていた。
至って普通の少女に見えるが、惹かれる何かがあるのだろか、
『申し訳ありません。
殿下からの命でして…詳細は分かりかねます。』
白「そうですよね…変な事を聞いてしまってすみません。」
動揺しているようだ。
説明もなくいきなり呼び出されているため無理もない。
ゼンからではなく、実際はイザナから呼ばれているとは思っていもいないだろう。
彼女が可哀想に思えてきたが、周りに認めて貰わなければゼンの側にいることはできない。
『あまり緊張しなくて大丈夫ですよ。
こちらでお待ち下さい。
物音を立てられませんよう』
白「あ、有難うございます。」
広間からゼンの声が聞こえる。イザナは何をするつもりなのか。
状況を把握できていない彼女に頑張れと心の中でエールを送り、扉を閉めて部屋を後にする。
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作者名:まゆら | 作成日時:2019年3月17日 18時