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ウィスタル城のとある一室
『失礼致します、イザナ殿下。
只今セレグより帰還致しました。』
胸下まで伸びた真っ白な髪を一つに結った少女が、クラリネス第一王子であるイザナに帰還報告をしていた。
イ「ご苦労だったな。
今は二人だけだ。いつも通りでいい。」
『やっぱり城は落ち着くなー!』
部屋に誰もいないと分かると、疲れたーとソファーに座る。
第一王子に対してこの態度をとるのは彼女一人だけだろう。
イ「最近は各地を駆け回ってもらってたからな。
暫くは此方でゆっくりするといい。」
『了解です!イザナは昨日戻ってきたんだよね。
なにか面白い事は起きてた?
ん?ゼン達どこかに行ってたんだ。』
ソファーに置かれた資料に目をやる。
ゼンが作成したラクスドに関しての報告書であった。
イ「ラクスドにな。
あれは中々落ち着かない…」
『ふーん…ゼンもまだまだ甘いね。
まぁそこが良いところでもあるけど、お兄様は大変だねぇ』
一通り目を通して呟く。
自分も報告書を書かなければと、部屋を出ようとする。
イ「その前にひとつ頼まれてくれるか?」
『何でしょう?』
イ「これから花謡いの間でザクラどのとアサナギどのに会うことになっている。
その前に薬室にいる赤髪の少女を呼んでくれ。
別室に着替えを用意している。」
『…承知しました。少女の名は?』
イ「…白雪だったかな、
タンバルン出身のゼンの最近できた友人らしいが、どうなんだろうな。」
イザナの声色が変わった為、Aは反応する。
ゼンに友人が出来るのは喜ばしいことだが、彼は一国の王子である。
異国の珍しい髪色の少女は、王子に相応しい者であるか見極めが必要であろう。
『白雪、ですね。
では、呼んで参ります。』
Aは部屋を出ると足早に薬室へ向かった。
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作者名:まゆら | 作成日時:2019年3月17日 18時