+ かれしゃつ ページ9
+ あきな
きっかけは、ソファに置かれた彼の白色のパーカーだった。
古着屋で買ったというその服を彼はとても愛用している。
風呂をあがって、目についたそれをそっと手にとってみる。
168cmと自分からすればそこそこ高身長である彼の服は割とぶかぶかそうだ。
ほんの好奇心で頭から被ってみると、全身から安心する匂いがして身体をぎゅっと抱き締める。
フードも被ってみたりして、しばらく堪能する。
くるっと回って、リビングのドアの方へ振り向けばそこには悶えている彼がいた。
そっと何事もなかったかのようにドアを閉めようとしたので、手を入れて阻止する。
明那「あぶなっ、手ぇ詰めるよ」
別のことにさらっと反応する彼をじと目で見つめるとすぐ降参した。
明那「いや、ごめんね?でもだってさ!?帰ってきたら、嬉しそうにAちゃんが俺のパーカー着てて抱き締めてるとか癒し以外の何でもないから!」
「でも黙って見てるのやめてよ!?怖かった!」
明那「俺が言ったらやめるもん!!」
そりゃやめるでしょ、と反論しようとしたがよくわからなくなって口をつぐむと勝ち誇った顔をする明那くん。
「スマホ貸して?」
明那「え、これよくあるやつ?浮気なんてしてないが」
歯切れ悪くとぼける彼の手からスマホを抜き取る。
明那くんのスマホは私の指紋認証でも開くように彼が設定している。
カメラロールの一番下、最新の写真にはパーカーを着て嬉しそうに笑う私が写っていた。
「盗撮だめ」
明那「ごめん!ごめん!謝るから消さないで!!!」
大声で叫ばれ、私が耳を塞ごうとした瞬間にスマホを取り返す明那くん。
そのままスマホを抱えてうずくまる。
明那「絶対消さん!!」
普段は絶対しないのに、今回ばかりは威嚇するようにこちらを睨む明那くん。
どうやらこの家ではいつの間にか大型犬を飼っていたようだ。
「んん、仕方ないなぁ」
明那「え!マジ!お許し出た??」
「…今日だけ?」
明那「何で疑問形!?次も着てよ〜!!」
尻尾が見え始めた明那くんに揺すられながら、私はやっぱり甘くなってしまうな、なんて考える。
でも、今回勝手に着たのは私なのに「次も着て」なんてさらっと許してしまう明那くんも大概私に甘いのだ。
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白猫(プロフ) - 更新いつまでも待ってます。 (2023年3月5日 14時) (レス) id: 9dc0c56771 (このIDを非表示/違反報告)
てん - めっちゃ好きです(?)aknとゆめぬしちゃんのふわふわした感じの絡み読んでてめっちゃ幸せです! (2022年4月5日 11時) (レス) @page1 id: 89a1300b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかとうがらし | 作成日時:2022年4月5日 10時