+ とらうま ページ5
俺の彼女は俺に対してよく、可愛いと言う。
でもどうせなら俺だって可愛いよりかっこいいと思われたい。
そんなことを考えると、頭上から今日五回目の「可愛い」が降ってきた。
そこで何かに触発された俺はそのときソファに座っていたAちゃんを押し倒した。
配信ではよくDTだのなんだのとなめられるが、実際そんなことはないし意気地無しでもない。
明那「あんまり可愛いばっか言われても、俺だって男なんだ、よ…」
そう言いかけて気付いた。
彼女は目に涙をためて青ざめていた。
俺はこのとき人生で初めて血の気がひくのがわかった。
明那「ごめんｯｯ！！」
慌ててAちゃんの上から退いて距離をとる。
「ごめんね」
起き上がったAちゃんは青ざめたまま不器用に笑みを浮かべた。
「お父さんと重ねちゃった、」
は？
なんでAちゃんが謝ってる？
明那「俺に…！俺に！怒ってよ…！！！」
謝られた瞬間脳裏に浮かんだのは、いつかトラウマの話になったとき「お父さんかな」と言って深くは語らなかった彼女。
目の前の彼女は、なんで明那くんに怒るの、と苦笑した。
「可愛いって嫌だったよね、雰囲気悪くしちゃってごめん」
違う。
謝らなくていい。
Aちゃんは悪くない。
そう言いたいのにまだ脳が凍り付いている。
明那「ごめ、ごめん、Aちゃ、ごめ…」
ぽろぽろと無様に泣くしか出来ない。
きっと泣きたいのは俺よりもAちゃんの方なのに。
俺の情けなさが、彼女の自己肯定感の低さが、その両方の重さが相まって目から滴が落ちるスピードを加速させる。
明那「可愛いって言われるのが嫌なわけじゃない、Aちゃんを傷付けたから、俺、それで、泣けてきて」
舌足らずでもなんとかそう言葉を紡ぐと、彼女は心なしか安心したような顔をしていた。
「かっこいいってストレートに言えなくて、可愛いって言って、ちょっと遠回りしちゃってたの」
そんな予想外の言葉に場違いだけども赤面させられた。
「大好きだから、言わなくても伝えわるなんて言い訳だよね。今度からはちゃんと言う」
明那くんは世界一かっこいい、大好きだよ。
そういって俺にキスを落とすAちゃん。
俺の恋人がこの娘で良かったと改めて強く思えた今日の午後。
ただ、俺よりもイケメンになるのはやめてほしいけど。
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白猫(プロフ) - 更新いつまでも待ってます。 (2023年3月5日 14時) (
レス) id: 9dc0c56771 (このIDを非表示/違反報告)
てん - めっちゃ好きです(？)aknとゆめぬしちゃんのふわふわした感じの絡み読んでてめっちゃ幸せです！ (2022年4月5日 11時) (レス) @page1 id: 89a1300b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あかとうがらし | 作成日時：2022年4月5日 10時
