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念願のピンクスでオーダーを済ませた私たちは、テラス席で食べることに。
「ん〜!美味しい!隆二さんのも美味しい?」
「うまいよ。ちょっと食べる?」
「うん」
隆二さんが差し出したホットドッグにかぶりつき、私はまた「ん〜!」と声を漏らした。
「Aのも」
「あ、はい」
私のホットドッグにかぶりついた隆二さんは「チーズやべぇ」と満足気。
そして謎の飲み物“ユーフー”を口にした。
「あんっっま!チョコだコレ!チョコ100パーセント!」
「100パーセントはおかしいじゃないですか!私がいつも飲んでるショコラみたいな感じ?」
「いや、あれよりチョコ。100パーセント」
「えー……何かそれ見てたらメニューのチョコケーキ食べたくなってきた」
「まだ食う!?A食うの好きだよなー……だから作るのも上手いのかな」
「じゃあ隆二さんはキスが好きなんだ?だからキスが上手い」
私がケラケラ笑いながらそう言うと、隆二さんはテーブルに腕を置いて前のめりになった。
「なに?」
首をかしげる私に、
「え……」
隆二さんが、わりと深めなキスをした。
周りの目が気になって瞳と顔を横に動かすと、隆二さんは私の頬に手を当て“気にするな”というように顔を元の位置に戻した。
唇だけで、私の体を全て抱きしめているようなキス。
手に持っていたホットドッグのチーズが、私の気持ちと同じように
トロリと溶けてテーブルに落ちた────。
唇を離した隆二さんは、何てない顔をして微笑んでる。
「うまい?」
「……甘い」
────日本の初夏を思い出すような爽やかな風と、てっぺんに昇った太陽。
3泊5日の弾丸トラベル。
旅の始まりは、とにかく
とにかく
甘かった。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年4月17日 19時