No.1510。12 (ページ48)

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どうして良いか分からない私に、彼女はとても愛らしい笑顔で会釈をした。

「はじめまして」

「はじめまして……」

「A、あの、前の彼女」

隆二さんが紹介すると、臣くんは「それもう俺が言った！」と言い、出番は終わったとばかりに向こうへ歩いていく。

私は落ち着かなさを誤魔化すように、濡れたままの髪を撫で付けた。

「昨日仕事の食事会でばったり隆二……隆二さんに会ったんです。Aさんのお話聞いて、どうしてもお会いしたくて今夜無理矢理押し掛けました。ビックリしましたよね、ごめんなさい」

「い、いえ」

私の動揺が伝染したみたいに、３人の中に沈黙が流れた。

「……あ！挨拶も出来たし、私もう帰ろうかな。二人の邪魔しないうちに」

「ま、まだ居てください！って私が主催じゃないんですけど……折角ですし……」

笑顔を浮かべながらも、私は隆二さんの顔を見ることが出来ませんでした。

────笑顔が素敵で周りに気が使え、明るく元気な人。

もう、忘れかけていた言葉を思い出したから。

隆二さんが言っていた好きなタイプは、

きっと、当時付き合っていたこの素敵な女性のこと。