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原因が分かったのは、夕方近くになってから。
設計部は撤収しろと言われ、私は濡れたまま車に乗り込んだ。
「疲れた……」
シートに体を預け、目を瞑る。
そのまま眠りに落ちてしまいそうな私の耳に、運転席の窓をノックする音。
目を開けて窓の方を見ると、同じように濡れたままの部長が立っていた。
私は慌てて体を起こし、窓を開ける。
「部長、乗っていきますか?」
「違う違う!今日はもう会社戻らなくて良いから。早めに休めよ」
「ありがとうございます。部長も早めに休んで下さい」
「うん」
「あと……小田さんの仕事について話聞いてあげて下さい。私より部長の方が……」
「あぁ……うん」
部長は深くは聞かず「お疲れ」と車を離れた。
隆二さんに誘われた飲み会まで、そんなに時間がない。
タオルで髪を拭き、途中で寄ったコンビニのトイレで着替えを済ませた。
濡れた髪とノーメイクとPRADAのワンピース。
「変なの……」
これなら作業着のまま行った方が良いんじゃないかと思ったけど、私のせいで隆二さんが変な目で見られるのは嫌だ。
再び車を走らせながら、体が重いなと何度か首を鳴らしたり腰を捻った。
半日も水を浴びていたのだから仕方ない。
こんなに重い体でも隆二さんに会いたいと思うのは、彼に話したいことがあるから。
聞きたいことがあるから。
謝らなきゃいけないことがあるから。
隆二さんに迷惑をかけてしまうかもしれないことを伝えなきゃいけないから。
段々、頭まで重くなってきて、体が沈んでしまいそうだった。
お店の近くのパーキングに停めた車の中で色味のないグロスだけを付け、私は車を降りた。
隆二さんにどう切り出そうか考えながらお店まで歩き、ドアを開けた私は、すぐに彼の背中を見つけた。
名前を呼んで駆け寄ろうとした私の目の前で、
誰かが彼の隣に腰を下ろした。
隆二さんの隣に座ったその女性は、彼に「ねぇねぇ」と親しげに話しかけている。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年4月17日 19時