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「へぇ!良いですね!そっか……有給か……」
「消化しないと部長に急かされちゃうよ?」
「ですよね。でも大丈夫です。私、ライヴ行くときにちょくちょく取ってるんで」
「ライヴ?そっかぁ、良いね、それも楽しそうで」
「山田さんもライヴ行ったりしますか?」
「洋楽のアーティストはたまに。本当にたまにだけど。今度は有給使って行ってみよかな。まだまだ残ってるし」
「それが良いですよ!」
微笑みを交わしたあと、後輩は「急にすみませんでした」と言い会釈をしてデスクから離れていく。
「………Aさーん。しびれるねぇ、今の会話」
茶化してきた純奈の足を、私はデスクの下でつついた。
「純奈、さっきの休憩室の話聞かれてたのかな?」
「聞かれてないって!あの子外回り行ってたんだもん」
「だよね……じゃあ、さっきの質問はただの世間話かな」
「かなぁ……」
「……あの子、小田さん?だっけ?」
「そうそう。私と一緒、最初ラボに居てそのあと設計部に来たんだよ」
「そうなんだ……」
小田さんの背中をぼんやり眺めながら、私は一旦ロスの思い出に蓋をすることにした。
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その日の夜、リビングでテキストを開いていた私の元に、隆二さんから電話がかかってきた。
“何してた?”
「今ね、勉強してました」
“勉強?仕事の?まだ勉強することあんの?”
「そりゃありますよー」
“へぇー。で?どーよ。時差ボケは”
「全然大丈夫!あ、純奈が隆二さんに100回ありがとうございましたって言っといてって」
“あ、まじ?じゃあ代わりに100回どうぞ”
「ありがとうございました、ありがとうございました、ありがとうございました」
“あ、もう大丈夫でーす”
「了解でーす」
くだらねぇ、と隆二さんが大きな声で笑う。
「ふふっ。純奈本当に喜んでた!結婚式にも持っていくって」
“まじで?もう色々決まってんの?”
「うん。ドレスとか……指輪はまだ悩んでるんだって。一生付けるものだから迷って当然なんですけどね」
“だよねぇ”
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年4月17日 19時