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「そう。本当に結婚するのその人で大丈夫?二人でこれからやっていけるの?って神様が試してんだって」









「結婚を神様の前で誓う前に神様に愛を試されるってことか……」









「そうそう。なるほどねーって思っちゃった」









神様に、試される────









だけど、純奈の表情を見てると、どんな難問で試されても“二人は大丈夫”って、心の底からそう思えた。










「ねぇねぇ、ロスどうだった?やっぱお姫様扱い?」









「何か……本当に保険金かけられてるかもって思うくらい……お姫様扱い」









「うぉおぉぉおーー!人妻はそういう話に飢えてるから詳しく聞かせて頂戴!」









コーヒーとビスコという組み合わせのおやつを食べながら、私はロスでの出来事を純奈に語った。









ひとつのエピソード毎に二人で足をジタバタさせ、私たちは年甲斐もなくはしゃいだりして。









「そろそろだね、右の人帰ってくるの」









「うん。あともうちょっと」









「いよいよ二人の生活だねぇ……私の方こそAんちに気軽に行けなくなっちゃう」









「何で、来てよ!9月からまた……」









私は周りに聞こえないように、純奈の耳元で「ツアーだし」と囁いた。









「相変わらず忙しいんだねぇ」









「ねぇ?」









休憩時間が終わり、私は自分のデスクでメールチェックを始めた。









有給の間に溜まったメールを返信しながら、隆二さんが帰国する日を指折り数える。









“Aは、俺が腐った水の中で溺れかけてたときに助けてくれた人だから”









腐った水────









あの頃、隆二さんに何があったんだろ。









酷く酔って帰ってきたあの夜、隆二さんには何があったんだろ。









「山田さん、ロス行ってたんですか?」









頭の上から降ってきた質問に、私は無言で顔を上げた。









「あっ……」









質問の主は、私が使っていたミニタオルの隆二さんに気が付いた後輩。









「ロス……」









「ロス、行ってらしたんじゃないんですか?」









好奇心で縁取られた瞳でそう訊ねられ、私は「うん」と頷く。









こういうとき、変に嘘をつくとどこかで綻びが出る気がして。









「彼氏があっちに居て。有給取れって部長にも言われてたしね」

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年4月17日 19時

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